研究課題/領域番号 |
26289046
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
中山 顕 静岡大学, 工学部, 教授 (60155877)
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研究分担者 |
桑原 不二朗 静岡大学, 工学部, 教授 (70215119)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ナノ流体 / 多孔質 / 発泡金属 / 強制対流 / 異常伝熱 |
研究実績の概要 |
様々な気孔率のアルミ発泡金属を入手しこれを矩形流路に充填し等熱流束条件の下で伝熱実験を実施した.加熱壁面と発泡金属はロウ付けすることで接触熱抵抗を極力抑えた.アルミ発泡金属を充填した流路では流れが短い助走区間で発達することから,20mmx20mmの流路断面とし,流路長は全長920mmで,入口非加熱区間300mm,試験区間500mmおよび出口非加熱区間120mmをそれぞれ確保した.等熱流束加熱の下,圧力分布,壁面温度分布および発泡金属後端の流路断面の速度分布の測定を実施した.しかし,数値解析より予測した加熱面近傍のダルシー速度のオーバーシュート現象については,計測装置の空間分解能の問題もあり,はっきりとは確認できなかった. ナノ流体の粘度は音叉式振動粘度計,熱伝導率は熱線式熱伝導率計を用いて計測した.計測に先立ち,ナノ流体は超音波分散機を用いて均一な分散状態に保った.温度依存性およびナノ粒子の体積分率の影響を考慮する相関式を求め,既存の熱物性値の式と比較したところ概ね良好な一致を得た.純水を用いた実験では圧力損失がDukhanの経験式と良好な一致を示すことが分かった.また熱伝達率については発泡アルミの機械的分散効果により同流量下で約7倍増加することが分かった. ナノ流体を飽和させた発泡アルミ充填矩形流路においては,体積分率や他の物性値の変化に依存せず,ヌッセルト数が見かけの物性値に基づくペクレ数を用いるとき,一括表示ができることが分かった.本伝熱系においてはナノ流体による異常伝熱については確認できないものの伝熱促進に発泡金属充填流路がきわめて有効であることが判明した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナノ流体の熱物性の計測および発泡金属充填流路内のナノ流体強制対流熱伝達実験などほぼ予定通りに進んでいる.理論解析との比較も行っているが,概ね良好な一致が見られている.ただし,数値解析より予測した加熱面近傍のダルシー速度のオーバーシュート現象については,計測装置の空間分解能の問題があり確認できなかった.これについては引き続き計測を行っていくが,壁近傍の現象であり,チャネリングとの区別を明確にする計測法が求められる.
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今後の研究の推進方策 |
熱分散係数と界面熱伝達率との逆比例の関係を用いてシングルブロー法により熱分散係数の計測を実施する.これより,ナノ流体と純水との熱分散現象における違いを明らかにする. これまで得られた一連の理論解および実験データを比較・検討し総括することで,変則的伝熱促進現象および革新的伝熱促進現象を明らかにする.これらの知見を生かすことで熱流体機器のコンパクト化を実現する指針を提示する.
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