研究課題/領域番号 |
26289049
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
角田 直人 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (70345437)
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研究分担者 |
有本 英伸 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 主任研究員 (50344198)
近藤 克哉 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00295750)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 熱物質輸送 / 温度測定 / 濃度測定 / 近赤外分光 / 化学反応 |
研究実績の概要 |
マイクロ領域の温度と物質濃度の同時イメージング法を開発した。先ず、アルコール、塩、酸、アルカリの水溶液に対して近赤外域の吸収スペクトルを測定し、温度感度波長と水モル濃度(もしくは溶質モル濃度)感度波長の2つの波長を特定した。これらの波長における吸光度と温度・濃度の関係については結果的に線形モデルによって記述することができた。次に、近赤外カメラと狭帯透過フィルクの高速切り替えによって、2波長の吸収画像を取得できるイメージングシステムを開発した。温度分解能0.1℃、濃度分解能0.1%となった。このシステムを用いてマイクロ流路内のアルコール拡散混合を調査し、温度と濃度の時系列画像から温度による拡散様相の違いを示し、拡散係数を推定した。また、中和反応の予備実験として、反応物と生成物の分光分析を行い、各々の濃度を推定できることを定量的に示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2波長を利用した温度・濃度同時イメージング装置の開発し、マイクロ流路内における水とアルコールの温度と濃度分布の変化を可視化することに成功した。波長を特定するため、分光データの収集と分析を行い、多くの水溶液に対して1905 nmと1935 nmが温度と濃度の推定に対して有効であることを確かめた。この事実は多くの溶質に適用できることを意味する。濃度画像からは、特に2液体が接触反応する際の境界垂直方向の拡散現象を測定でき、拡散係数を推定することができた。以上の成果は当初の目標を十分達成するものであるが、課題としては、濃度分解能が0.01%を実現できていない。ただし、これは温度・濃度変換のための回帰係数と流路深さの精密測定によって改善できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定どおりの研究項目を実施する。特に、その知見が多くの反応系の測定に活用されると予想している中和反応実験を推進し、反応拡散場の解明を目指す。加えて、温度・濃度推定の精度を向上させるため、分光測定を再度実施する。今年度以上に研究分担者との連携を強めて課題を解決していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験データと画像の処理を研究協力者とともに効率よく行えるようになったため、実験補助アルバイトを雇用しなかったことと、その他の学会参加費等の支出が予定よりも少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
様々な実験条件の設定に伴い、次年度の光学部品と試薬等の消耗品の支出が計画以上になると予想されるため、それらに充当する。
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