研究課題/領域番号 |
26289051
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
山本 泰之 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (00398637)
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研究分担者 |
松本 壮平 独立行政法人産業技術総合研究所, 集積マイクロシステム研究センター, 研究グループ長 (70358050)
藪野 浩司 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 教授 (60241791)
黒田 雅治 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60344222)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 熱工学 / 熱物性 / マイクロ・ナノデバイス / レオロジー / モニタリング |
研究実績の概要 |
初年度は、MEMSレオロジーセンサーの実現に向けて、これまでに開発を進めてきた粘度センサーの改良を行い、検証実験を進めた。 まず、MEMS粘度センサーのうずまき構造を改良し、ずり速度が一定でレオロジー測定に適した構造にするため、うずまき構造の変形解析を数値シミュレーションで行った。現状のうずまき構造では、ずり速度が一定でないばかりでなく、非垂直方向への変位も見られたことから、測定の誤差要因となっていた。数値シミュレーションの結果、うずまきの根本付近を、ある構造にすると非垂直方向への変位が無視できるほどに小さくできることが見出された。さらに、構造解析の結果を反映したセンサー構造を設計し、実際に製作プロセスを行った。現在は新しいセンサーチップの評価を進めている。 レオロジー分野ではサンプルが貴重で微少量しか得られない場合も多く、そのようなサンプルでも測定可能であることは、MEMSレオロジーセンサーの大きな利点となることが想定される。そこで微少量サンプル用ホルダーを試作することで、実際に必要なサンプルの量や、系統効果要因となる振動現象の変化などの確認を行った。その結果、チップとホルダー底面の距離を2.0mm以上取れば振動現象にはほとんど影響がないことがわかり、その際に想定される最小の必要サンプル量は250 マイクロリットル程度であることが明らかとなった。 レオロジーセンサーの評価に向けて行った実験装置の開発としては、強制加振方式による振幅と位相の周波数応答解析が可能なシステムの構築と、共軸二重円筒回転子を用いたせん断速度が規定できる実験装置の構築を行った。回転振動のアクチュエータとしては永久磁石とムービングコイルを用いたシステムを採用し、高分解能で線形性の良いアクチュエータを実現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度にレオロジー測定に適した構造の完成まで到達したかったが、プロセスに用いる薬液の生産中止に伴うトラブルなどの対処に時間を浪費してしまった。しかし評価実験用の装置構築や数値シミュレーションなどには大きな進展が見られ、来年度以降の研究に必要となるセンサーチップなども完成しているため、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は数値シミュレーションだけでなく、理論的にもうずまき構造の解析を進め、レオロジー測定に最適な形状の探索を進める。また製作プロセスの開発も行い、溝の幅が変化するうずまき構造の深堀加工技術の研究を行う。次に製作したセンサーを用いて、レオロジー測定理論の検証を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
MEMSセンサーの製作プロセスのトラブルへの対処に想定外に時間がとられてしまったことや、研究の進展によって数値シミュレーションによる検討の時間が多くなる段階に到達しており、物品等の使用額が一時的に減少していたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降ではいよいよセンサーの本格的な製作と、評価実験を開始する予定であるため、平成26年度以上に物品費(マスクなど)や人件費などを使用するため、次年度使用額の全額を使用する予定である。
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