研究課題/領域番号 |
26289053
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金子 成彦 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70143378)
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研究分担者 |
寺島 洋史 (石原洋史) 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20415235)
山崎 由大 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60376514)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 機械力学・制御 / エネルギー効率化 / 環境調和型 / 制御工学 / モデル化 / 騒音低減 / 計算法 / 燃焼 |
研究実績の概要 |
本研究では、①天然ガス、バイオガス、石炭ガス等を燃料とする小型発電用ガスタービン、②バイオガスと液体燃料の両方を燃料とするデュアルフューエル自動車用レシプロエンジン、③ジェット燃料やバイオ燃料を燃料とする小型ターボジェットエンジンを対象に、高効率化と環境性能の両立実現の障壁となっている、①燃焼振動対策、②計算負荷の軽いリアルタイム制御アルゴリズム、③ノズルから放出される騒音低減デバイス開発に関して、化学反応を絡めた、新しい視点から各機関に内在する動的問題の解決策を提案する。 ①については、化学反応方程式に対する高速時間積分法を組込んだ圧縮性流体解析コードの有効性を確認するため解析コードを具体的な燃焼流問題に適用した。入口負荷変動と燃焼不安定性の関連性に着目し、ガスタービン燃焼器を想定したメタン空気予混合燃焼場の解析を開始した。定常入口条件において、今回の燃焼器形状に特有と考えられるが、当量比0.5や0.6の場合には失火が生じた。これは、噴流から巻き上がる未燃気体が入口上下コーナー部に形成される再循環領域に入り込むことが原因であった。 ②については、デュアルフューエルエンジンの更なる高効率化を目指し、軽油の他段噴射を利用した自動運転制御システムを構築した。ガス組成と軽油の噴射条件を変化させた実験を行った結果、負荷が小さくかつ軽油噴射量が少ない条件において、2段噴射を行うことで通常の単段噴射時よりも高効率な運転が可能であることが明らかになった。また、最大圧力時期を制御量として軽油噴射時期を操作する自動運転制御システム系を構築しガス燃料の組成が変化した場合において、噴射量のみを制御した場合と比べて軽油の消費量が低減することができた。 ③については、CFDによるノズル周辺流れの解析、線形安定論による渦放出挙動の解析により、騒音低減に有効な設計指針を求めることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の1番目のテーマである「小型発電用ガスタービン燃焼器で発生する燃焼振動」の研究では、計算は順調に進んでいるものの、実験が遅れている。具体的には、実際のガスタービン燃焼器で発生している、燃料の割合が空気量より少ない低当量比の領域での振動を再現したいところであるが、目下のところ観察できている現象は、高当量比での振動現象である。そこで、目下、実験体系を見直している。
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今後の研究の推進方策 |
上記の問題を解決するために、まず、燃焼器内で完全燃焼できているかどうかを排ガス分析装置で確認する。その後、完全燃焼できていない場合には、装置全体のサイズや配管長さを変更し、低当量比での振動を実現させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算の中で、物件費については、ガスタービン燃焼器の燃焼振動用実験装置改造の着手が遅れたため、次年度に持ち越した。また、旅費については、当初予定していた学会発表が国内での開催となったため、旅費の支出が予定よりも少なかった。さらに、人件費については、他の資金からの支出が可能となったため、支出が少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、ガスタービン燃焼器の燃焼振動用実験装置改造に取り掛かるとともに、海外での研究発表と科研費からの人件費の支出を予定しているため、これらに充当させる。
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