研究課題/領域番号 |
26289056
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
谷口 朋代 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90346370)
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研究分担者 |
小林 信之 青山学院大学, 理工学部, 教授 (70276020)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 底板浮上り / 花びらモード / 浮上り角加速度 / 反発係数 / 簡易算定式 / 側板面外変形 / ロッキング-バルジング相互作用 |
研究実績の概要 |
底板の部分滑りを防止する工夫を盛込んだ、かつ質量が無視できる強め輪を側板に多数取付け側板が真円を保持してロッキング振動する平底円筒貯槽の数値モデルと、強め輪の剛性を調整して側板が面外変形しながらロッキング振動する平底円筒貯槽の数値モデルの作成に成功した。 そして、水平正弦波に対する時刻歴応答を求めて比較したところ、次の①~④に示すように、側板の真円保持の有無がロッキング振動の性状に大きな影響を及ぼすことが示された。①側板の面外方向の応答は、花びらモードの1次モードが支配的であること。②浮上りが生じる底板部の上部にある側板に、タンクの中心に向かう面外変形が生じた場合には底板の浮上り量は大きくなり、タンクの外側に向かう面外変形が生じた場合には底板の浮上り量は小さくなること。③②の原因が、研究協力者の中島が静的解析に基づき予測した「タンクは部材の長さを合わすように変形する」ことから説明できること。④底板浮上り部の上部の側板にタンクの中心に向かう面外変形が生じた場合の底板の浮上り量は、側板が真円を保持する場合の浮上り量に、側板面外変形量と側板半径の比の10倍に1を加えたものを乗じた程度となること。 また、側板が真円を保持してロッキング振動する場合に生じる浮上り角加速度(目標値)と申請者らがこれまでに開発した簡易浮上り角加速度算定式の結果とを比較すると、簡易浮上り角加速度算定式は目標値より2~3倍程度大きな角加速度を与えることが分かった。その理由は、簡易浮上り角加速度算定式は底板が基礎上に着地した場合に失う反発係数相当分の運動エネルギーを無視しているからであり、2~3回程度の着地を想定して消失する運動エネルギー分を考慮する補正係数を導入すれば、簡易浮上り角加速度算定式はほぼ妥当な浮上り角加速度の推定値を与えることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
底板の部分滑りを防止する工夫を盛込んだ、かつ質量が無視できる強め輪を側板に多数取付け側板が真円を保持してロッキング振動する平底円筒貯槽の数値モデルと、強め輪の剛性を調整して側板が面外変形しながらロッキング振動する平底円筒貯槽の数値モデルの作成に成功し、水平正弦波に対するこれらタンクの応答の比較から大まかな傾向が把握できており、かつその傾向がこれまでに予測していたものと合致していたため。 また、申請者らがこれまでに開発した簡易浮上り角加速度算定式の結果が、補正は必要であるものの陽解法に基づく数値解析解で求めた浮上りの角加速度と同オーダーの解が算定できることが示されたこと。そして、補正が必要になる物理的背景やそれに基づく補正方針が明確に示せていることなどが理由である。
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今後の研究の推進方策 |
部分滑りを防止する工夫を盛込んだ、かつ実タンクと同様の剛性を有する強め輪を有する平底円筒貯槽の数値モデルを作成し、水平正弦波、或いは水平地震動に対する時刻歴応答を求めて、側板が真円を保持してロッキング振動する平底円筒貯槽のそれと比較して、側板の面外応答が、ロッキング振動の性状に及ぼす影響の定量化を試みる。 また、側板面外変形の簡易推定法についても検討をすすめ、最大水平地震加速度~タンク形状~面外変形量の関係を示す図表などを提示することを試みる。そして、これらの検討に基づき、バルジング応答、同動液圧、ロッキング応答、同動液圧、底板浮上り範囲、側板面外変形量などのタンクの底板浮上り時の応答を特徴づける各種物理量を、簡易に算定する方法の構築に必要な数理的な検討を続ける。
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