本年度は、1) 側板面外変形を許容する場合に、同面外変形と底板浮上りとの連成の有無を確認する、2) 側板の面外変形を許容しない場合に、数値解析法の解析精度を確認する、ことを目的に、小型模型タンクを用いた加振実験を行った。 小型模型タンクは、地震応答時に実タンクに生じる歪と等価な歪が生じるように相似則を設定し、直径860mm、液深280mm、側板と底板の板厚0.5mmの塩化ビニール製タンクを製作した。尚、相似則から決まる小型模型タンクの側板や底板の板厚は0.3mmであったが、塩化ビニール板の製作限界から、0.5mmの板厚とした。一方、加振実験は、鳥取大学が所有する小型水平振動台に、小型模型タンクを搭載し、掃引加振と地震波加振を行った。ここで、地震波の主要動の周期と実タンクの固有周期の関係と、振動台の加振に用いる地震波の主要動の周期と小型模型タンクの固有周期との関係が等しくなるように、振動台を加振する地震波の時間軸を調整した。 まず、側板の面外変形と底板浮上りとの連成を調べるために、側板にリブの無いタンクを用いた掃引加振を行い、1) MEMS技術で作成した小型加速度計を側板に貼り付け、側板の面外方向の加速度を計測、2) タンク底板の下面からレーザー変位計で底板の浮上り高さを計測できる架台を製作し、タンクの浮上り高さを計測した。振動台の加速度、側板面外方向の加速度とタンク底板の浮上り高さを用いた実稼働解析を行い、側板面外変形と底板浮上りの連成により、側板面外変形が底板の浮上りを助長していることを、世界で初めて定性的に示した。 次に、側板の面外変形を抑制するために、厚さ0.5mm、幅10mmの塩化ビニール製リブを側板に30mmピッチで取付けたタンクを用いた地震波加振を行い、数値解析の結果と比較し、用いた数値解析法がタンクの浮上り応答を精度よく解析していることを確認した。
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