研究課題/領域番号 |
26289061
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小泉 憲裕 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (10396765)
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研究分担者 |
月原 弘之 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50431862)
牛田 享宏 愛知医科大学, 医学部, 教授 (60304680)
東 隆 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90421932)
川崎 元敬 高知大学, 医歯学系, 講師 (50398054)
葭仲 潔 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 研究員 (90358341)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 医療ロボット / 医デジ化 / 医療技能の技術化・デジタル化 / 強力集束超音波 / 超音波診断・治療統合システム / 超音波診断・治療ロボット / 超音波診断ロボット / 超音波治療ロボット |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は,以下の(i)-(iii)の医療診断・治療を対象として,超音波技術およびIRT技術を基盤として,非侵襲超音波診断・治療統合システムの構築法を確立することであり,研究期間内に,生体に対しても精度を落とすことなく頑健に動作するシステムを実現するとともに,人体レベルでのシステムの有効性および安全性を実証する。 この研究目的を達成するために,下記の5つの作業手順を順次遂行することで,医療技能を機能として抽出,構造化し,関数としてシステムの機構・制御・画像処理アルゴリズム上に実装(医療技能の技術化・デジタル化:医デジ化)する。その際,必要ならば専門医の医療技能に啓発された全く新しいアプローチから機能を追加・実装することにより,さらなる医療の質の向上(高速・高精度化)を図る。これにあたっては,我々が開発してきた独自のコア技術を基盤として,これを発展させることで行なう。 診断・治療支援の対象:(i) 腎がん・腎結石の診断・治療,(ii)肝臓がんの診断・治療,(iii)骨腫瘍の診断・治療,作業手順:(1)医療診断・治療技能を機能として抽出・構造化,(2)機能におけるパラメータ解析,(3)機能の設計指針化,(4)機能の実装,(5)実験による機能の評価・改良。 上記のうち,当該年度は(1)医療診断・治療技能を機能として抽出・構造化,(2)機能におけるパラメータ解析のステップを中心に研究を推進した。その成果は,2014年度 日本設計工学会 The Most Interesting Readings賞を受賞,Intuitive Surgical社の研究者によるReview Articleにおいて医療ロボットの体動補償研究のパイオニアかつ中核的な研究として大きく取り上げられるなど,学会をはじめ,国内外の企業・研究者から高く評価されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究で提案する非侵襲超音波診断・治療統合システムとは,呼吸や拍動等により能動的に変形をともなって運動する生体患部をロバストかつ高精度に抽出・追従・モニタリングしながら,超音波を集束させてピンポイントに患部へ照射することにより,がん組織や結石の治療を患者の皮膚表面を切開することなく非侵襲かつ低負担で行なおうとするものである。 本研究では,システムを構築するにあたって医療技能の技術化・デジタル化(医デジ化)という,システム構築の方法論に基づいて行う。医デジ化とは,医療診断・治療における技能を機能として抽出,分解・再構築(構造化)し,これを定量的に解析し,さらにデジタル・機能関数としてシステムの機構・制御・画像処理・アルゴリズム上に実装,システム上で医療の質の向上(機能向上・最適化)を図ろうとするものである。 医デジ化の効果としては,医療技能をデジタル・機能関数としてシステム側に取込む方法の学問体系化・設計指針化・医療支援システムの機能向上・最適化が促進される。これにより,医療専門家にとっては医療技能の標準化による負担軽減が可能になる。具体的には,みずからの医療診断・治療技能の蓄積・改良・再利用がシステム上のデジタル・機能関数として可能になり,一方で患者にとっては標準化された質の高い医療をどこにいても享受することができるようになる。 本研究プロジェクトおよびその成果は,2014年度 日本設計工学会 The Most Interesting Readings賞の受賞,Intuitive Surgical社の研究者によるReview Articleにおいて医療ロボットの体動補償研究のパイオニアかつ中核的な研究として大きく取り上げられるなど,学会をはじめ,国内外の企業・研究者から大きな注目と高い評価を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の目的は,以下の(i)-(iii)の医療診断・治療を対象として,超音波技術およびIRT技術を基盤として,非侵襲超音波診断・治療統合システムの構築法を確立することであり,研究期間内に,生体に対しても精度を落とすことなく頑健に動作するシステムを実現するとともに,人体レベルでのシステムの有効性および安全性を実証する。ただし,強力集束超音波の照射をともなう実験については,人体に対する安全面を最優先することとし,ファントムおよび動物実験レベルまでの実証にとどめる。 この研究目的を達成するために,下記の5つの作業手順を順次遂行することで,医療技能を機能として抽出,構造化し,関数としてシステムの機構・制御・画像処理アルゴリズム上に実装(医療技能の技術化・デジタル化:医デジ化)する。その際,必要ならば専門医の医療技能に啓発された全く新しいアプローチから機能を追加・実装することにより,さらなる医療の質の向上(高速・高精度化)を図る。これにあたっては,我々が開発してきた独自のコア技術を基盤として,これを発展させることで行なう。 診断・治療支援の対象:(i) 腎がん・腎結石の診断・治療,(ii)肝臓がんの診断・治療,(iii)骨腫瘍の診断・治療,作業手順:(1)医療診断・治療技能を機能として抽出・構造化,(2)機能におけるパラメータ解析,(3)機能の設計指針化,(4)機能の実装,(5)実験による機能の評価・改良。 上記のうち,今後は(3),(4),(5)のステップを順次遂行する。ここで,システムの検証→設計指針へのフィードバック→システムの改良というサイクルは,1回のみでは機能の信頼性を確保するためには不十分であることが予想される。その際は,必要に応じて同サイクルを繰り返すことで対応する。
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次年度使用額が生じた理由 |
システム試作にあたり,システムの仕様を策定するうえで検討すべき新たな課題が見出されたため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の検討が完了しだい,システムを試作,次年度使用額を順次使用する予定である。
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