研究課題/領域番号 |
26289067
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
鈴木 孝明 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (10378797)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ナノマイクロメカトロニクス / マイクロファブリケーション / フォトリソグラフィ / MEMS / ミラー |
研究実績の概要 |
本研究では、小型レーザレーダ、ヘッドアップディスプレイやマイクロプロジェクタへの適用を可能とする光偏向用小型ミラーとして、感光性ポリマーヒンジと単結晶シリコンヒンジを組み合わせた新構成のMEMS(Micro Electro-mechanical Systems)ミラーを提案し、作製プロセスや材料特性を研究し、従来にない大偏向角駆動が可能なMEMSミラーの実現を目的としている。低剛性延性材料であるポリマーと高剛性脆性材料のシリコンをそれぞれ大偏向低速軸と共振高速軸のヒンジ材料として組み合わせることで、単一材料では実現困難な大偏向・低消費電力・小型・高耐衝撃性の2次元ラスタスキャン方式レーザ走査を可能とするMEMSミラーを実現する。具体的には、①ハイブリット構成の新構造ローレンツ駆動型MEMSミラーの解析・デバイス評価からその実現と、広範囲のハイブリッドデバイスへの設計指針を得る。また、②ミラーに磁気誘導起電力型のセンサコイルを集積化してフィードバック制御することで、ポリマー特有のクリープや疲労特性の補償による、デバイス再現性向上を図る。 特に、当該年度では、異種材料を組み合わせたハイブリッドMEMSミラーについては、疲労試験によるデバイス評価に取り組み、繰り返し駆動による昼用評価を行い、ハイブリッドMEMSミラーの有効性について、検証した。また、磁気誘導起電力型速度センサを集積化したMEMSミラーについては、作製デバイスによる駆動特性の評価に取り組み、駆動とセンシングを同時に行った場合のクロストークの検証などを行い、集積型MEMSミラーの基本特性として、駆動角と速度信号の関係について、検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度4月に所属大学を異動し、実験設備の移設作業を12月に実施したため、移設前の年度前半は、翌年度実施予定であった分を前倒しして、解析・設計・制御を中心に実施し、年度後半に加工・評価を行った。平成27年度と28年度で一部のスケジュールが入れ替わっているが、研究期間内の進捗状況としては、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
異種材料を組み合わせたハイブリッドMEMSミラーについては、形状最適化によるヒンジ小型化と低消費電力化を目的として、昨年度までに、作製したミラーデバイスについて、配線に電流を供給しミラー駆動を確認する。印加電流によるジュール発熱を低減するため、電流値を極力小さくすることとし、配線金属の厚さと幅について、応力を低減しかつ配線抵抗の適正条件を把握する。特に、低速軸ヒンジを従来のシリコンデバイスに対して、同じ太さで、長さを5分の1程度に小型化することで、結果として、外部設置の磁石間距離を縮めて強磁場化し、よ り小さな印加電流で大きな駆動力を得ることができると考えられる。これにより低電流値で、大偏向角を得る条件を把握する。 磁気誘導起電力型速度センサを集積したMEMSミラーについては、角速度信号を用いた角度制御法の検討として、センサ信号を用いたフィードバック制御を行い、精密な駆動と角度制御を実現する。特に実用上重要となる、長期間の駆動特性評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度4月に、所属大学を異動したことにより、実験スケジュールの見直しを行った。実験設備の移設作業を12月に行ったため、年度前半に製作以外の解析、制御などの項目を前倒しして行い、加工、評価を年度後半から開始したため、本課題申請当初に予定していた購入装置の見直しなどを行い、効率的に短期間での実験環境の再構築を優先して行った。その結果、年度後半から比較的高価な加工・評価に関する物品購入を進めたため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
移設作業後に後ろ倒しをして見直しした加工・評価に関する装置購入を再開している。比較的少ない予算割合で前倒しした解析・制御については、結果が得られてきていることから、後ろ倒しした加工・評価について、実験装置の購入などを使用を進めることで、申請時に計画した研究内容を予定の予算で推進する。
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