研究課題/領域番号 |
26289068
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
岩田 浩康 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30339692)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 認知神経リハビリテーション / ロボット工学 / 脳機能解析 / 運動学習 / 脳卒中片麻痺 |
研究実績の概要 |
本年度は主に二点の研究を行った:A)誤学習を抑制する誤差覚知RTの開発と効能検証;B)運動補助RT利用時の脳賦活解析に基づく急性期リハ運動訓練法の導出. A)では,訓練中に注意低下要因が存在する場合,能動/受動によらず,運動の精度が有意に低下することを科学的に明らかとした. B)では,手指リハRTを用いて,健側の手から患側の手をマスター・スレーブ方式で左右同期運動をさせた際の脳活動をfMRIで計測したところ,両手を能動的に運動させたときの脳活動と差異がないことを初めて立証した. B)に関して概説する.脳卒中急性期リハでは,麻痺側の筋肉が弛緩し,能動的な麻痺側の運動訓練ができない.そこで健側の手の運動を計測し,マスタ・スレーブ(M/S)方式で患側に両側同期運動を行わせる手指リハ支援RTを開発すると共に,RTによる両側同期運動と自ら両手を同期させた能動運動の脳賦活状態をfMRIで比較・検証し,その有用性を脳神経学的に評価した.健常成人8名を対象に,MRIガントリ内で手指リハビリロボットを非利き手(左手)に装着した状態で,中指で以下の3つのタスクを行わせた時の脳活動をfMRIで計測した.タスク①:受動モード(ロボットで左手をプリプログラム駆動),タスク②:ミラーモード(データグローブを装着した右手から左手をM/Sで動作),タスク③:両手アクティブモード(被験者自身で両側同期運動).その結果,ミラーモード②と両手アクティブモード③では,賦活化領域に差異はなく(右前帯状,左下前頭),これらの訓練モードでは同様の効果が見込めることがわかった.本成果を踏まえれば,筋肉が弛緩して患側を動かせない急性期リハにおいて,M/S方式の運動補助RTを用いて両側同期運動を行えば,自ら能動的に患側を動作させる場合と同様のリハビリ効果が見込まれ得ることを脳神経学的に明らかにする世界初の成果が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初設定していた以下の課題に関して,片麻痺患者では未検証ではあるものの,健常成人を対象とした試験は予定通り実施できている. ①誤学習を抑制する誤差覚知RTの開発と効能検証 ②誤差覚知RTによるBF効能の脳神経生理学的検証
①に関しては想定通りの結果が得られた.また,②に関しては,手指の両側同期運動において,マスター・スレーブ駆動方式を取り入れた運動補助RTは,自ら両手を同期させた能動運動と同等の脳賦活状態を生じさせられることを世界で初めて脳神経学的に明らかにする成果が得られている.以上より,片麻痺患者に適用する前段階として,脳神経学的な観点から学理の裏付けを図れたことから,研究は順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
今回開発・案出したRTリハビリシステムおよび試験プロトコールを踏まえ,今後,片麻痺患者での検証を行った上で,健常成人と同様の傾向が認められる点および片麻痺患者特有の特徴を検証してゆく予定である.現在提携している東京慈恵会医科大学病院の関連施設である総合東京病院を中心に,主に片麻痺者を対象とした臨床データの集積に努める所存である.
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度の研究費の残金が1万円を切り,無理に使い切る必要性がなかったため,次年度に4,128円を繰り越した次第である.
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次年度使用額の使用計画 |
知覚支援RTを計測制御する電子回路の製作費に当てる予定である.
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