二つの連続波レーザーを半導体多重量子井戸に照射することで発生する差周波混合によるテラヘルツ電磁波を量子ビートにより増強することを目的に研究を行った。室温において、二つの連続波レーザーを重い正孔励起子と軽い正孔励起子のエネルギーに一致させて照射することで、最大強度が得られることが明らかになった。一般に閃亜鉛鉱構造型の半導体では重い正孔励起子の振動子強度は軽い正孔励起子の3倍であるので、本来であれば、重い正孔励起子で最大強度が得られるはずである。しかしながら、実験では軽い正孔励起子エネルギーで最大強度になっており、このことは量子ビートによる差周波混合過程の増強が可能であることを示唆している。
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