研究課題
常圧下で最も高い超伝導転移温度Tcを示す物質であり、かつCuO2面の3枚積層がone packageになっている水銀系銅酸化物超伝導体Hg-1223は、静水加圧で元来の130Kから150Kを超えるレベルまでTcが上昇することが知られている。本研究では、Hgサイトを一部Reで置換した単結晶試料において、一軸性圧縮実験ならびに静水加圧実験を系統的に行った。そこで、Hg-1223のTcを圧縮下で上昇させる上で、等方的に外力を印加する静水加圧が最適であることを明らかにした。この結果は、第一原理計算によるバンド計算の結果によっても支持された。Tcが上昇する現象において、HgサイトからCuO2 packageへのホールキャリアドープが重要な役割を果たしていることを突き止めた。本成果は、代表的な超伝導体の一つであるHg-1223の超伝導転移温度上昇のメカニズムを解明したこととして意義深い。レニウムの強ひずみ加工材において、せん断歪みによってTcが約2倍にも上昇することを観測し、高圧力下構造解析と第一原理計算によるバンド計算から、せん断ひずみ印加による単位胞の膨張が原因であることを突き止めた。また、ニオビウムの強ひずみ加工材を静水加圧することによって、従来の無歪み材の静水圧力下でのTcの上昇を、僅かであるが上回るTcの上昇を観測した。単一元素系超伝導体のTc上昇の新たなアプローチを開拓した。装置開発面では、高圧力実験対応のコイル振動型SQUID磁束計の立ち上げにおおむね成功した。特に、検出コイルとガスケット材の配置関係について十分な試行錯誤を重ねることができた。また、50GPa以上を狙うための、ガスケット開発にも成功し、ハード面の整備はおおむね満足いくものになった。また、有機強磁性体においては、圧力印加によって強磁性転移温度の世界記録を更新した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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