研究課題/領域番号 |
26289092
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
鄭 旭光 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40236063)
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研究分担者 |
真木 一 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10359945)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 電気磁気材料 / 水酸塩化物 |
研究実績の概要 |
近年申請者らは水酸塩化物M2(OH)3X物質群(MがCu2+, Ni2+, Co2+, Fe2+, Mn2+ 等の磁気イオン、XがハロゲンイオンCl-, Br-, I-)が新奇量子磁性を示す物質であることを発見した。最近になってこの物質群において水素と重水素原子自身の量子原子効果の違いによると推定される新型強誘電性を新たに発見した。本研究は、新型マルチフェロ強誘電性の機能解明を行い、新奇な原子の量子性に関係した新型マルチフェロ強誘電体の開発を目的とした。 今まで新奇量子磁性に起因する新型マルチフェロ強誘電性の機能解明を中心に調べてきた。磁化、比熱、誘電測定、電子顕微鏡観察、ラマン&赤外分光測定、放射光X線構造解析、中性子散乱及びミューオン緩和実験等によって結晶構造及び磁気構造の解析とスピン量子揺らぎの観測を行い、多角的なアプローチによって複雑な新型強誘電性のメカニズムを解明しつつある。26年度は水素・重水素の位置変化を有効に検出できる中性子回折実験を行い、結晶構造の微小変化を見出した。更に、水素原子の動的な挙動を敏感に探査できるミューオン実験を実施し、定性的に水素の量子効果が水酸塩化物の新奇強誘電性のメカニズムを担っているとの結果を得ている。自発分極を伴った強誘電性が格子振動とも強く関係し、水素と重水素を含む試料では強誘電性に関係した格子振動が劇的に異なることは、26年度のラマン分光実験によっても判明した。今後引き続き研究を継続・深化させ、水素Hと重水素Dを含有する物質の静的&動的物性の高性能詳細比較研究を実施し、詳細に解明を進め、更に高温でも発現する新型強誘電物質の開発へ進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的は、新奇量子磁性に起因する新型マルチフェロ強誘電性の機能解明と室温でも動作する生体親和型強誘電体の開発であったが、磁化、比熱、誘電測定、電子顕微鏡観察、ラマン&赤外分光測定、放射光X線構造解析、中性子散乱及びミューオン緩和実験等によって結晶構造及び磁気構造の解析とスピン量子揺らぎの観測を行い、多角的なアプローチによって複雑な新型強誘電性のメカニズムを解明しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
今まで新奇量子磁性に起因する新型マルチフェロ強誘電性の機能解明を中心に調べてきた。磁化、比熱、誘電測定、電子顕微鏡観察、ラマン&赤外分光測定、放射光X線構造解析、中性子散乱及びミューオン緩和実験等によって結晶構造及び磁気構造の解析とスピン量子揺らぎの観測を行い、多角的なアプローチによって複雑な新型強誘電性のメカニズムを解明しつつある。今後は、中性子実験等によって結晶構造の微小変化の精密解析を完了し、更に、水素原子の動的な挙動を敏感に探査できるミューオン実験とラマン実験及び解析を実施・完了し、水素Hと重水素Dを含有する物質の静的&動的物性の高性能詳細比較研究を実施し、詳細に解明を進める。更に高温でも発現する新型強誘電物質の開発へアプローチする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画より旅費において大きく異なった原因は以下の通りです。予定していた国内と海外の加速器施設への出張は、施設の事故などによる使用延期の結果、一部の実験が実施できず、以上の実験に伴う出張旅費と物品費などが次年度での延期実験等で使用する予定です。
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次年度使用額の使用計画 |
出張旅費:1000000円、物品費:1120000円
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