研究課題
これまで研究代表者は,シリコン光エレクトロニクス材料であるシリサイド半導体β-FeSi2のバンド構造をひずみにより変化させることに成功してきた.その研究成果を発展させ,本研究ではβ-FeSi2/SiGeヘテロ界面で発生するひずみを異方的にβ-FeSi2層へ導入し,バンド構造変化について検証するとともに,β-FeSi2の発光・受光特性の向上を目的とした。平成28年度は下記の実績を得た.【研究実績1】前年度の研究で,SiおよびSiGe上へβ-FeSi2をエピタキシャル成長させた際,ヘテロ界面で発生する転位によりひずみが緩和し,目標とするバンド構造変化が十分に発現しないことが判明した.そこで研究計画を修正し,β-FeSi2/Siエピタキシャル成長条件を見直すことでひずみ緩和の原因を詳細に調査し,ひずみ導入に向けた最適成長条件を検証した.その結果,エピタキシャル成長時のFe/Si供給比と成長温度を同時に精密制御し,ひずみ導入に有効な成長条件を得た.そして,Siの点欠陥の増加による原子配列の乱れ,金属相であるε-FeSi微結晶の混入が主なひずみ緩和の原因であることを明らかにした.【研究実績2】研究実績1でひずみ導入に有効な成長条件を得たが,SiGe上へのβ-FeSi2をエピタキシャル成長では格子不整合値が大きくなるため,ひずみ導入には更なる高度成長技術の構築が必要であると判断した.そこで,ヘテロ界面形成時にサーファクタントとして機能することが期待されるSbに着目し,Sb照射下でのエピタキシャル成長を試みた.その結果,供給したSbがβ-FeSi2エピタキシャル成長を促進するとともに,若干のSbがβ-FeSi2内に残留しドナーとして機能することを明らかにした.研究期間内に目標とするバンド構造変化まで至らなかったが,得られた成果を継続して進展させることで目的の達成が期待できる.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 5件)
Journal of Applied Physics
巻: 121 ページ: 113101/1-9
http://dx.doi.org/10.1063/1.4978372
Japanese Journal of Applied Physics : Conference Proceedings
巻: 5 ページ: 011106/1-5
https://doi.org/10.7567/JJAPCP.5.011106
Japanese Journal of Applied Physics
巻: 56 ページ: 05DD03/1-5
https://doi.org/10.7567/JJAP.56.05DD03
巻: 5 ページ: 011204/1-4
https://doi.org/10.7567/JJAPCP.5.011204
巻: 56 ページ: 05DD02/1-4
https://doi.org/10.7567/JJAP.56.05DD02
巻: 印刷中 ページ: 011104/1-4
https://doi.org/10.7567/JJAPCP.5.011104