研究課題/領域番号 |
26289105
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
土屋 敏章 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (20304248)
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研究分担者 |
小野 行徳 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (80374073)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 電子デバイス・電子機器 / マイクロ・ナノデバイス / 表面・界面物性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,トラップを“密度”で表す従来のマクロ的な扱いから脱却し,ナノ構造界面における個々のトラップの分離検出技術,および,個々のトラップの物性評価技術を確立し,従来のマクロ的見地を基盤としたトラップ物理に新たな視点を加えて新展開を計ることである.この目的達成のため,トラップとしてはMOS界面トラップ,評価技術としてはチャージポンピング(CP)法を用いる.
今年度は以下の研究成果を得た. 1.CP法により,界面トラップ数の真の値を得るための根本的なカウンティング手法を前年度に確立したが,この手法を用いて実際に様々な試料における真の界面トラップ数を測定評価した.その結果,真のトラップ数のばらつきが大きいこと,および,従来CP理論に基づく値との差が大きいことを定量的に明らかにした. 2.個々のトラップの離散的エネルギー準位の評価技術を確立し,単一界面トラップのエネルギー密度分布を実験的に概算することにはじめて成功した.バンドギャップ中心から±0.3 eV付近にピークを有しており,これまで報告されているESR測定によるPb0センターのエネルギー密度分布とよく一致していることを明らかにした.この結果は,前年度に引き続き,界面トラップの正体解明に対する究極的な判定となり得ると共に,界面トラップのエネルギー密度分布はいわゆる“U字型”であるとの定説に疑問を投げかけた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
真のトラップ数のカウンティング法を用いて従来CP理論との差異を定量化すること,および,個々のトラップの離散的エネルギー準位評価技術を確立してエネルギー密度分布の導出を試みることを当初予定していたが,これらすべてが達成された.
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今後の研究の推進方策 |
電子捕獲放出過程におけるトラップ間の相互作用について検討すると共に,これまで得られた知見を総合した新たなCP理論に基づくCP電流式の構築を試みる.また,単一界面トラップのエネルギー密度分布がPb0センターのエネルギー密度分布とよく一致していることを前年度に明らかにしたが,界面トラップのエネルギー密度分布はU字型であるとする従来の定説も踏まえて,エネルギー密度分布に関する矛盾や疑問を解明してトラップ物理の進展を図る.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度の外国出張旅費を確保するため,今年度予定していた欧州での国際会議参加のための旅費等(約70万円)を別予算で実施したため.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の国際会議での招待講演等が新たに生じておりその旅費等に充てる.
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