研究課題/領域番号 |
26289111
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
宇野 重康 立命館大学, 理工学部, 教授 (40420369)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | バイオセンサー / クロマトグラフィペーパー / 半導体集積回路 / CMOS |
研究実績の概要 |
平成28年度は、CMOS(complementary-metal-oxide-semiconductor)プロセスにより設計・作製された半導体集積回路と、化学定量実験で広く使用されるクロマトグラフィペーパーを統合した、新規バイオセンサーの原理実証を行った。また、クロマトグラフィーペーパーを基板とした低価格使い切りバイオセンサーの様々な応用展開に取り組んだ。具体的には、(a) CMOS集積回路チップ上に生体由来の酵素および電子授受を行う分子を含浸させた機能化クロマトグラフィペーパーを取り付け、ペーパーにはシリコーン樹脂などを用いて親水性・疎水性領域を定義したうえで積層する立体的流路を作製した。これにより、電気化学的電流方式に基づく溶液中糖分(グルコース)およびアルコール(エタノール)検出を行った。また、電気化学的電位方式に基づく溶液中グルコース検出を行った。(b) クロマトグラフィーペーパー上に、ワックスを原料とするインクを使用するプリンターで2次元流路を作製し、カーボンおよび銀塩化銀インクによる電気化学電極を作製したうえで、スマートフォンと連動する自作測定回路機器と組み合わせることにより、溶液中グルコース検出およびガス中エタノール検出を行った。溶液中グルコースは血糖値に相当する濃度範囲での測定を行い、ガス中エタノール検出では日本での飲酒運転基準を網羅する範囲での測定を行った。(c)クロマトグラフィペーパーの両面に電極を設置することによる電気化学的レドックスサイクリングの発生を初めて実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目標としてきたCMOS集積回路チップと機能化クロマトグラフィーペーパー流路を統合したバイオセンサーの研究および原理実証を順調に行えている。また、クロマトグラフィーペーパーを基板とする様々な形態のバイオケミカルセンサーを研究し、それらをスマートフォンと連動させたPOCT(Point of care testing)に近い状況での動作を実証している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、CMOS集積回路チップと機能化クロマトグラフィーペーパー流路を統合したバイオセンサーの完成度をより高めるとともに、クロマトグラフィーペーパーを基板とするバイオセンサーのさらなる応用展開を進める。また、電気化学インピーダンス方式に基づくバイオセンシングをCMOS集積回路チップとペーパーを組み合わせて行うことを試行し、最終的には主要な電気化学的測定原理を網羅することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会および学術論文による成果発表時期として、次年度開催のものがより適切であると判断したため。
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次年度使用額の使用計画 |
国際学会発表の旅費および論文投稿費用として使用する。また、次年度より検討を始める電気化学インピーダンス法による測定の実験消耗品購入のために使用する。
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