研究課題/領域番号 |
26289115
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
関屋 大雄 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 准教授 (20334203)
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研究分担者 |
末次 正 福岡大学, 工学部, 教授 (60279255)
魏 秀欽 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80632009)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 非接触給電 / ワイヤレス給電 / 無線電力伝送 / マグネティクス / パワーエレクトロニクス / 制御方式 / 非線形最適化 |
研究実績の概要 |
非接触給電において、電力伝送効率を最大化しながら所望の出力制御を実現する、パワーマネージメント技術基盤を確立することを本研究の目的とする。第一段階としてマグネティクス分野の視点から、無線結合部の物理的解析表現を導出し、送電・伝送・受電を「一つのシステム」とみなした非接触給電モデルを構築する。その統合モデルにパワーエレクトロニクス分野で培われた高度な制御技術を応用し、非接触給電のパワーマネージメントを実現する。本研究の特徴はマグネティクス、パワーエレクトロニクスの分野横断型アプローチを取り、申請者の培ってきた独自のシステム設計技術を活かすことにある。 平成27年度はSISO(Single Input Single Output)システムにおいて、平成26年度に構築したモデルに対し非線形最適化アルゴリズムであるPSO(Particle Swarm Optimization)を適用することにより、結合部位分のサイズ(物理パラメータ)の中で最大効率を達成するシステム設計技術の開発に成功した。さらに、電力制御方式として、受電側で、間引き制御/パルス密度制御を実現するための制御構成を提案し、その特性を評価した。さらに、別方式として、入力段、出力段にdc/dcコンバータを直列に結合することによる制御方式を提案した。この制御方式では、インピーダンスマッチングと出力制御を同時に行うことが可能であり、高電力変換効率を広いパラメータ領域で達成できることを示した。また、SIMO(Single Input Multiple Output)の非接触給電システムのモデル化、設計を行い、実験によりその特性を評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成27年度中に非接触給電システムの制御方式にある程度の目途が立ったことは大きな進捗である。特にパルス密度制御は受電側で制御が完結できる点が大きなポイントで、送電側との情報交換を不要にできる可能性を見出すことができた。 上記進捗は平成28年度に予定していたSIMOシステムの構築およびその制御方法の確立のテーマを前倒しで進めている意味を持ち、その意味で当初の計画以上に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度はSIMOシステムのパワーマネージメントシステムを構築する。SISOシステムの制御システムと比較すると、出力制御に求められる機能が多様化する。具体的には(i)受電器数の変化による送電側の入力電力量の制御 (ii)送電側コイルの磁界一様性に起因する受電電力のばらつきを補償する制御方式を提案する。(i)は2-1で実装したフィードバック構造に加え、一次側のリアクタンスをセンシングすることにより制御パラメータを決定する。(ii)は受電側で自律的に制御するトポロジを考える。これは、平成27年度に実装済であるPDM制御に他ならない。
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次年度使用額が生じた理由 |
測定環境の構築を次年度に持ち越したため、次年度に予算を繰り越した。本年度予定していた物品は他予算で購入できたため、研究計画通りに進んでいる。
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次年度使用額の使用計画 |
H27年度からの繰り越しとH28年度の予算でパワーアナライザ、スペクトルアナライザ等を購入予定であり、測定環境を構築する。
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