研究課題/領域番号 |
26289125
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
末廣 純也 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (70206382)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 誘電泳動 / DNA診断 / 電気インピーダンス / マイクロビーズ |
研究実績の概要 |
・多層誘電体球モデルを用いたDNA修飾によるマイクロビーズのサイズや誘電特性変化が誘電泳動力に及ぼす影響の理論的検討を行った。その結果、マイクロビーズのサイズが小さい程、DNA修飾による誘電泳動特性の変化(負から正)がより少ないDNA修飾量で発現することが明らかとなり、提案手法によるDNA検出の高感度化に重要な指針を得ることができた。その一方で、マイクロビーズのサイズが小さすぎるとDNA修飾しない場合でも正の誘電泳動特性を示すことも判明した。即ち、マイクロビーズのサイズには最適値があり、直径1μm程度のビーズが最適であることを明らかにした。 ・DNA修飾によるマイクロビーズの誘電特性変化を定量的に評価するため、ゼータ電位の測定を行った。その結果、DNA修飾によってゼータ電位は上昇することがわかった。またゼータ電位とクロスオーバー周波数を比べると、ゼータ電位よりもクロスオーバー周波数の方がDNA修飾量への依存性が高いことがわかった。 ・DNA修飾によって誘電泳動特性が負から正に変化したマイクロビーズを誘電泳動インピーダンス計測法(DEPIM)で検出することに成功した。更に、DEPIMの特徴である定量性を利用して、DNAを定量的に検出できることを明らかにした。 ・DNA抽出試薬によって黄色ブドウ球菌から抽出したDNAをPCR増幅し、これを提案手法とDEPIMで定量的に検出ことに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
提案手法を用いたDNA診断を菌体から抽出したDNAに適用し、定量的なDNA診断と細菌検出が可能であることを実証した。 更に、ゼータ電位測定により、DNA修飾により実際にマイクロビーズ表面の電気特性がDNA修飾量に応じて変化していることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、PCRと誘電泳動を同一デバイスで行う手法を開発し、提案したDNA診断技術をより簡便で信頼性の高い技術に発展させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究に必要な消耗品を研究に支障のない範囲で有効利用することで、物品費を当初の予定より節約できたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の研究計画に必要な物品の購入に充てる。
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