研究課題/領域番号 |
26289128
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
坂本 登 南山大学, 理工学部, 教授 (00283416)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 最適制御 / 安定多様体法 / メカニカル系制御 / アクロボット |
研究実績の概要 |
平成29年度の研究では以下のような成果を得た. これまでの安定多様体法の研究では,一つの平衡点を最適に安定化する問題を扱ったが,本年度は複数平衡点間の遷移を最適に行う問題を考えた.このような目的のため,メカトロニクス制御への応用を中心に据え,アクロボットという不安定システムの制御問題に取り組んだ.このシステムには四個の平衡点があり,そのうち三個は不安定平衡点である.このようにアクロボットは,複数平衡点をもつメカトロニクス系の代表として興味深い対象である.アクロボットの平衡点遷移問題は,四個のうち二つを選び,状態フィードバックを施したシステムが一つの平衡点を漸近安定化し,その吸引領域がもう一つの平衡点を含むように設計する問題である.アクロボットシステムに対してこのような遷移問題を最適制御によって構成することが可能となった.この設計問題を通じて安定多様体法の適用に関し,計算・ソフトウェア・実装のすべての段階で効率的な設計が可能となったことを示すことができた. 本年度の研究におけるもう一つの課題としていた最適サーボ系の設計においては,実用上十分とされる一つの積分器を含む最適制御設計に取り組んだ.この問題では中心安定多様体理論を用いることになるが,その際の計算理論の改善を行った.以前までの我々研究チームの計算では近似を用いていたため,非線形が大きく,さらに追従指令値が大きいときには精度低下が顕著であったが,これに対する非線形ニュートン法の利用を考案し,中心安定多様体法へ組み込むことを行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究全体を通じて,様々な制御応用を手掛け,実験検証を行ってきた.論文発表した研究は,いずれも最適制御による実験が報告されていない対象に対するものであり,本研究の目的である非線形最適制御の設計において,十分な有用性と独自性を示すことができている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は計算の高次元化に取り組む必要があるが,計算機パワーに頼らないアプローチの開発が望まれる.不変多様体理論を見直すことで高次元化が自然に行えると考えている.また,現実的なアプローチとしては,高次元システムを安定多様体法の枠組みの中で低次元化する理論の開発も有用であると考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度にスペインにて共同研究を行う機会を得,これ利用してより進んだ研究を行うため,本研究課題の延長を行った.延長期間中に必要な研究経費のために研究費を残した.
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