研究課題/領域番号 |
26289140
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
奥井 義昭 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (40214051)
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研究分担者 |
党 紀 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (60623535)
松本 泰尚 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (90322023)
佐藤 京 国立研究開発法人土木研究所, 寒地基礎技術研究グループ, 研究員 (30414171)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 免震 / 高減衰ゴム / 温度依存性 / Mullins効果 |
研究実績の概要 |
雰囲気温度-30,-20,23℃の基で過去に行った高減衰ゴム支承の正弦波繰り返し載荷試験(振幅:せん断ひずみ175%,振動数:0.5Hz)の結果を用いて,自己発熱の影響を考慮し内部温度に基づき試験結果を再整理した. 具体的には,耐震設計における非線形応答解析で用いられる高減衰ゴム支承を表すバイリニアモデルを定義する等価剛性,等価減衰定数などのパラメータの温度依存性を求めた.その際に,内部温度の算定にはH26年度に開発した散逸エネルギーに基づく推定法を用いた.これより-25℃から40℃の範囲で,耐震設計用のバイリニアモデルの設定が可能になり,この結果を寒冷地における高減衰ゴム支承の耐震設計マニュアルとしてまとめる予定である. また,得られたバイリニアモデルを用いて-20℃の雰囲気温度における免震橋梁の動的応答解析を行った.解析対象の免震橋梁は常温時23℃で試設計された高架橋で,高減衰ゴム支承やコンクリート橋脚の諸元は,道路橋示方書に基づき決定している.地盤種別は免震橋が採用されるI種とII種地盤で応答解析を実施し,地震波としてはType1と2の両方を考慮した.今回の解析は試験的に行ったため,計算の簡略化のため,高架橋の1基の橋脚と基礎およびその橋脚が支持する上部構造を質量のみで考慮した,いわゆる1本橋脚モデルを用いた. 解析結果の一例を紹介すると,例えばI種地盤Type 2の地震時では常温時ゴム支承の最大応答せん断ひずみが240%となり免震効果が十分発揮されていたが,-20℃では40%程度にとどまり,免震効果が十分に発揮されず,コンクリート橋脚の塑性率が許容値の3倍程度に達し,橋脚の破壊が発生した. 以上のように低温下では高減衰ゴム支承の免震性能が十分に発揮出来ない可能性があり,温度依存性を考慮することの重要性が示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は通常の耐震設計で用いられるバイリニアモデルについて温度依存性を考慮したパラメータ同定を行い,これによりゴム支承の低温下でのゴム支承の設計法のための基礎データが得られたいえる. また,温度依存性データと内部温度推定法を用いる事で,繰り返し再開時におけるゴム支承の挙動を自己発熱に起因するものとMullins効果によるものを分離することが可能となった.このことは,Mullins効果のモデル化に必要不可欠であり,Mullins効果のモデル化に向けて着実に研究が進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
■橋梁モデルを用いた感度解析:昨年度の検討では高架橋モデルの脚1基を取り出した1本柱モデルを用いた簡易的な検討をおこなったため,今年度は,新たに感度解析用橋梁モデルの試設計を行い,モデルを設定する.そのモデルを用いて低温化の影響の感度解析結果をまとめる.この結果を用いれば,常温時の設計において,どの程度の余裕を設定すべきかの事前検討が可能となる. ■高減衰ゴム支承を寒冷地において使用する場合の設計マニュアル:高減衰ゴム支承用のバイリニアモデルの等価剛性,1次剛性などの各種パラメータの温度依存性データをまとめて公開する.既に同様なデータは「北海道における鋼道路橋の設計および施工指針」にまとめられているが,この結果は自己発熱の影響の補正を行っていない.本研究では自己発熱の影響を補正した改定資料となる.さらに,低温下でのゴム材料の温度依存性データを取得するために必要な低温下でのゴム材料試験ガイドラインを作成する.このガイドラインでは低温下での材料試験を簡易な方法で行うために,ゴム支承ではなく小型のラップシアーテストによる材料試験を提案する予定である. ■Mullins効果のモデル化:昨年度までの結果より,自己発熱による内部温度の推定が可能となったため,自己発熱による軟化と温度一定の基での繰り返し載荷による軟化(Mullins効果)が分離可能となった.そのため,Mullins効果のモデル化をラップシアーテストによる材料試験結果を用いて実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度,赤外線サーモグラフィーを購入せず,研究協力者のゴム支承協会よりレンタルで使用出来たためと,小型のラップシアー試験を実施しなかった事により,次年度の使用額が発生した.
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度実施出来なかったラップシアー試験を次年度に実施する予定で,そのための研究費を使用する予定である.
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