研究課題/領域番号 |
26289149
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
五十嵐 敏文 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90301944)
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研究分担者 |
川崎 了 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00304022)
太田 朋子 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30373020)
タベリン カーリット 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60626125)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地盤工学 / 岩盤掘削ずり / 吸着層工法 / 設計法 / 移流分散 |
研究実績の概要 |
ヒ素などの重金属類を溶出する岩盤掘削ずりを採取し、簡易室内カラム試験および予備原位置カラム試験を実施した。また、対策として有力視されている吸着層工法の材料として天然の河川掘削土をずり発生地点周辺で採取し、カラム試験の吸着層および覆土層として使用した。そして、ずり層だけからなるカラム、ずり層と吸着層の2層からなるカラム、ずり層を挟み吸着層と覆土層の3層からなるカラムを構築し、実験した。あわせて、ずりおよび吸着層の物理化学特性試験を実施した。その結果、以下のことを明らかにした。 (1) 簡易室内カラム試験および予備原位置カラム試験の結果、吸着層を有するカラムでは、泥岩ずりから溶出するヒ素濃度が低減された。このことは、吸着層である河川掘削土にもヒ素が十分吸着され、吸着層工法が有効であることを示す。 (2) 室内カラムと原位置カラムにおける降雨条件は異なったが、ヒ素の溶出・吸着に関してはおおむね同様の結果が得られた。このことは、室内でも、原位置でも、ヒ素の溶出・移行は同様の現象で進行していることを示す。 (3) 吸着層のほか覆土層を設けた場合、泥岩ずりから溶出するヒ素濃度が極端に低下した。このことは、ヒ素の溶出量がずり層の酸化還元環境に依存することを示唆する。すなわち、比較的透水係数の低い河川掘削土は酸素の透過性も低く、ずり層内の気相中の酸素濃度も低下することが予想された。 (4) 以上の結果を踏まえ、カラム内の環境(温度、水分量、酸素濃度)を連続測定するカラムを設計・製作し、来年度のカラム試験の整備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験試料の採取・分析、カラム製作、簡易室内カラム試験の実施、原位置カラム試験の開始等、当初予定通りに研究が進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の結果を踏まえ,今年度は以下の項目を実施する。 1) 室内簡易カラム試験結果を踏まえ,測定が必要な項目を抽出し,カラム内環境を測定可能な室内精密カラムを構築し,カラム内の環境(水温,水分量,酸素濃度)を連続モニタリングしながらカラム試験を実施する。 2) 上記のカラム試験結果および充填材料の物理化学試験結果を踏まえ,評価に必要な入力データを取得し,カラム内の水分移動,ヒ素の溶出・移行現象を評価し,吸着層の性能を評価するとともに,設計法について考察する。 3) 原位置カラム試験を継続し,室内カラム試験との比較・検討を行う。
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