研究課題
本研究では、盛土や地中構造物の埋設土および自然斜面内に、雨水浸透の繰返しや地震時の地盤の液状化な どにより生成する水みちや内部侵食の形成・進展メカニズムを解明する。また、内部侵食によってできた空洞やゆるみなど地盤内の局所的脆弱部が土構造物や地中構造物全体の安定性へ及ぼす 影響を検討する。すなわち、斜面崩壊、道路陥没、河川堤防の浸透破壊などに対する危険度評価を試み、近年の気候変動による気象の激甚化や土地利用・社会情勢の変化に適応可能な、維持管理性や長期耐久性を考慮した土構造物・地中構造物の合理的構築・埋設・補修・維持管理方法を検討するものである。今年度は、実験装置の開発・準備・調整も終了し、模型実験、要素実験、および現地調査から研究を進めている。模型実験では、地盤内に空洞が生成するメカニズムについて空洞再現実験を実施して検討した他、模型地盤に水が浸透していく際に地盤内に空気が閉塞された場合の影響について調べた。要素試験では、中空ねじり試験装置を用い、内部侵食の作用を受け細粒分が流出した土供試体の力学特性について詳細に検討した。また福岡市の路面下空洞の調査結果を分析し、空洞の生成傾向や拡大・進展要因について検討した他、2016年9月に宮崎県都城市畑地で発生した大規模陥没の現地調査を実施した。さらに、地盤内の水みちの発達状況や分布を調べるために地中流水音調査を試み、その有効性を検証した。
2: おおむね順調に進展している
本研究で予定していた実験・調査は、環境整備も整い、順調にデータ収集・蓄積が進んでいる。
引き続き実験・調査によりデータ蓄積を進め、最終年度に向けてとりまとめる。
実験の進捗状況に合わせて、必要な実験消耗品の金額に相違が発生したため。また人件費において、総長裁量経費採択分が充当された。
実験消耗品・調査費・旅費等に使用する。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
生産研究
巻: 705 ページ: 351-353
http://doi.org/10.11188/seisankenkyu.68.303
巻: 705 ページ: 349-350
http://doi.org/10.11188/seisankenkyu.68.307