研究課題
本研究では,申請者が世界に先駆けて開発に成功した河川音響トモグラフィーシステム(FATS)を発展させ、低水から洪水までの流量を自動連続計測できる技術の確立を目指して行ったもので、具体的な研究実績は以下の通りである。1.FATSを用いて、三次市を流れる江の川において、30秒間隔で9次のM系列で位相変調した30 kHzの超音波の双方向発信と受信を行って、断面平均流速を連続測定した。河川を斜めに横断する送受信線の長さ(両岸に設置したトランスデューサー間の直線距離)は294 mである。流量計算に必要な流積を求めるために、両岸に設置したトランスデューサーの位置にはデータ送信機能を持つ水位計を設置し、河床形状は音響測深機で計測した。2015年11月から2017年3月まで連続した流量観測を行った。観測された断面平均流速と流量の範囲はそれぞれ、0.15~2.3 m/sと15~600 m3/sであった。得られた流量データは、ADCPによる横断観測データと比較した結果、相対誤差10%以内でよく一致していた。2.FATSを用いて1年4ヶ月に渡って取得した連続流量時系列データを解析した。FATSの流量時系列データには、従来の方法では観測できなかった流量の短時間変動がとらえられていた。断面平均流速・流量は水位とともになめらかに変化するわけではなく、複数の特定の水位で、水位-流量関係が特異な挙動を示すことが明らかになった。3.観測期間中の増水時や灰塚、土師ダムのフラッシュ放流時の濁水(最大濁度400 ppm)による超音波の減衰は少なく、FATS計測の障害にはならなかった。しかし、流下してくる大量の水草がトランスデューサーに付着して音波の送受信の障害を引き起こす事態が発生した。4.音波の送受信線上の3カ所でADCPを用いて流向を連続観測して、水位と流向の関係を調べた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 2件、 査読あり 9件、 謝辞記載あり 8件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件) 備考 (1件)
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