本研究は、申請者が開発した河川音響トモグラフィーシステム(FATS)を改良し、河川流量の長期連続観測を実現したものである。高感度・高精度タイミングGPSモジュールを用いて改良したFATSの性能試験を、江の川(川幅110 m、平均水深0.8~2.5 m)で行った。GPSモジュールが出力する正確な10 MHz信号をFATSのベースクロックとして使用した。258日間の連続観測から、FATSの信頼性と良好な観測精度を確認した。さらに、河川の両岸に4個ずつのトランスデューサーを配置して音線網を形成し、インバース解析による河川蛇行部における水深平均流速ベクトルの水平分布を連続的に推定することに成功した。
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