研究課題/領域番号 |
26289169
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福本 潤也 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (30323447)
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研究分担者 |
井上 亮 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (60401303)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 空間データ / 集積事象 / 空間スキャン統計 / コミュニティ抽出法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,詳細かつ大量の空間データと時空間データから空間的な集積を検出する手法の開発を目的とする.平成26年度は主に以下の2つの課題に取り組んだ. 第一に,空間領域の形状に関する制約を緩めた集積検出法を開発した.従来の手法には,検出領域が円形もしくは凸状であるといった制約や,一個の領域しか検出できないといった制約があった.詳細な空間データの分析では,それらの制約が分析結果を大きく歪める危険性がある.本研究では,統計物理学分野で広く用いらえるポッツモデルを事前分布とする確率モデルに,検出される集積領域の形状に依存する2種類の変数を組み込み,ベイズアプローチに基づいて柔軟な形状の集積領域を検出する手法を開発した.また,日本全国の事業所データを用いた実証分析により,提案手法の有効性を検証した. 第二に,空間スキャン統計とデータマイニング手法を組み合わせた共集積の検出手法を開発した.具体的には,空間スキャン統計手法によって検出された個別の集積領域の検出結果から,データマイニング手法を用いて二種類の集積領域の最頻出パターンを検出する手法を開発した.第一の分析と同様に,日本全国の事業所データを用いた実証分析により,提案手法の有効性を検証した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
共同研究を予定していた研究代表者が指導する大学院生が体調上の理由より退学したため,当初予定していた研究を遂行することができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,以下の3つの課題に取り組む. 第一に,平成26年度に開発した多様な空間領域の検出手法と同じ理論枠組みに基づいて,検出領域の重なりや階層性を明示できる手法を開発する.具体的には,空間形状を規定するパラメータを変化させることで多様な形状の集積領域を複数個検出し,別に定式化するパラメータ選択基準に基づいて検出する集積領域を決定する枠組みを開発する. 第二に,上記検出手法を拡張し,フローデータから集積領域を検出する手法を開発する.具体的には,想定する空間を二次元空間からネットワーク空間や時空間へと変更し,変更後の空間に対応した確率モデルを定式化することで,ネットワーク空間や時空間上で定義されたフローデータから集積領域を検出する手法を開発する. 第三に,空間データの集計単位設定手法を開発する.空間集積の検出を通じて都市現象や交通現象を理解することができたとしても,そこから他の分析へと発展させたり,都市政策・交通計画の策定に有用な情報を得るには,詳細データを何らかの形で集計化する必要がある.過去に研究代表者らが開発した頑健性に基づく空間集積検出結果の妥当性判定手法を拡張し,空間データの集計単位設定手法を開発する.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究進捗状況が若干遅れており,研究成果発表の出張回数が減少したことと,購入を予定していたPCの購入を次年度以降に回したことによる.
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次年度使用額の使用計画 |
計算用PCを購入するとともに,研究成果発表のための国内出張ならびに国外出張の回数を増やす.
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