研究課題/領域番号 |
26289170
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
谷口 守 筑波大学, システム情報系, 教授 (00212043)
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研究分担者 |
鈴木 勉 筑波大学, システム情報系, 教授 (00282327)
秋山 英三 筑波大学, システム情報系, 教授 (40317300)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 都市計画 / 人口減少 / 都市構造 / ソーシャル・キャピタル / 進化経済学 |
研究実績の概要 |
本研究は、都市救命を目的とし、①診断、②予防、③リハビリの3つのブロックを構成して検討を進めてきた。それぞれの研究実績は下記のとおりである。 ①診断:関連研究を広くサーベイし、都市の進化体系の中での課題把握に関する方法論について体系化を進めた。その中で進化した都市形態である都市コンパクト化の診断・評価指標の提案を、エコロジカル・フットプリントやアクセシビリティなどの諸指標の改善を通じて行った。これらの諸指標を活用し、複数の対象地域に対して都市による環境負荷とその受容力に関するバランス評価を重ねた。 ②予防:公共施設配置の再考や転居の促進を通じ、都市救命を妨げる様々な諸課題がどの程度緩和されるか、その基本的な事例とデータの整備を行った。特に特定の拠点や都市のみの課題に対象を限定せず、都市圏ベース、全国ベースでの都市拠点を広く対象とし、それらの相互関係をも配慮しながら適切な予防策の有り方について検討を加えた。 ③リハビリ:地域での自律的なリハビリの仕組みが期待されるため、関係者のコミットメントの発現が阻害される典型的な事象について、囚人のジレンマに着目して見当を加えた。また、ケースごとにリハビリに要する手間やコストも異なるため、リハビリを行って延命した方がよい都市(拠点)とそうでない都市(拠点)の峻別を行うことの意義について検討を加えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①診断、②予防、③リハビリの3つのブロックそれぞれについて、一定の研究成果の公表が既に可能な水準に到達しており、研究全体はおおむね順調に進展しているといえる。特に研究代表者・研究分担者らはそれぞれが取り組んでいるテーマの不足分をお互いに相補う形で研究が進捗できており、それに伴う新しい知見も得られている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、①診断、②予防、③リハビリの3つのブロックごとに整理すると、下記のようになる。 ①診断:前年度に開発・改良したエコロジカル・フットプリントやバイオキャパシティなどの様々な諸指標を診断結果としてわかりやすく表現し、②、③のステップにより効果的につなげていくための手法を新たに開発する。また、初年度に開発したアクセシビリティ他関連指標を複数の候補地に適用し、その診断パフォーマンスについて吟味を重ね、その汎用性を高める。 ②予防:何に対してどのような対策をすれば、都市救命を阻害するリスクを小さくできるのか、意識と実態の双方からそのモデル化を検討する。特に人口減少等に伴って現在疲弊が進み緊急の救命行為が必要な非都市部において、小さな拠点などの救命拠点を効果的に設置することの意義と可能性について広範な視点から定量的分析を実施する。これらをもとに、いずれの都市や地域でも予防対応が可能な形を目指す。 ③リハビリ:どのような予防措置が効果的であるかが明確にされても、それを地域住民はじめ関係主体が認知しなければ都市救命にはつながらない。このため、上記①、②を通じて解明されたリスクの実態とその解消策を地域で共有するための認知化方策を検討する。さらに外部からの資金的サポートが減少する中で、地域内で自律的に地域の機能を回復・持続(リハビリ)させていくための仕組みの実装方策について、アンケート調査等に基づく具体の試算をベースに提案を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、海外で情報収集を行う予定であったが、インターネット上で入手することが出来たので海外出張を取りやめたため。
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次年度使用額の使用計画 |
地域内で自律的に地域の機能を回復・持続(リハビリ)させていくための仕組みの実装方策についてアンケート調査を行うための経費として使用予定である。
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