研究課題
本研究は、給水栓における浄水の安全性を担保する技術として、紫外線発光ダイオード(UV-LED)の利用を提案するものである。小型、無水銀というUV-LEDの特徴を生かす利用方法として、給水の直前で使用の都度に水を処理するPoint-of-Use(POU)型の浄水装置、建物の入り口で処理するPoint-of-Entry(POE)型の浄水装置、集落規模の飲料水供給施設など、いわゆる個別分散型水システムへのUV-LED適用を想定して研究を展開した。H29年度は、蛇口レベルでUV-LEDを適用した場合の水道水中の細菌叢変化を調べるため、POU型UV-LED装置と実際の水道水を用いてUV-LED照射前後の水道水中の従属栄養細菌叢の変化を調べた。その結果、UV-LED照射が選択圧となってUV耐性の高い細菌群が優占する現象を見出し、特にメチロバクテリウムが優占することを国際学術誌に発表した。消毒処理が選択圧となって一部の細菌群が優占する現象はあらゆる消毒技術において生じうるが、UV-LEDはPOUでの利用が合理的と考えられるため、処理水は直ちに利用される前提での水質管理が必要である。よって、特定種の優占が人の健康にどれほどの影響を与えうるか、慎重な検討が必要であることを指摘した。また、日和見感染症の原因菌として知られ生物膜を形成しやすい緑膿菌に着目した実験では、紫外線照射が引き金となって緑膿菌のストレス応答が活性化し、細胞外多糖体(Extracellular Polymeric Substances、EPS)を平時よりも多く生成する場合があることを見出した。この知見は、UV-LED処理がその後の給配水系統にバイオフィルム形成の促進などの悪影響をもたらす可能性を示唆しており、どのような条件でEPSの増産が生じるのか、今後の研究でより詳細に調査する必要性を見出した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Water research
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