本研究では,水道水源および水道水試料中のウイルスを効率的に検出可能な手法を開発することを目的とし,主にナノセラム陽電荷膜を用いた濃縮法を対象に研究を実施した。まず,ナノセラム陽電荷膜をウイルスと原虫の同時濃縮に適用することを考案し,モデル微生物として大腸菌ファージQβとカラーシードを添加した水試料を用い,濃縮操作に適した誘出液および誘出方法を検討した。次に,ナノセラム陽電荷膜法を植物ウイルスの濃縮にも適用するため,トウガラシ微斑ウイルスと大腸菌ファージMS2を用いた濃縮回収率の測定実験を実施した。本研究により,糞便汚染指標となるウイルスを効率的に検出するための手法を開発することに成功した。
|