研究実績の概要 |
19世紀に最初の鉄筋コンクリート建物が建設されて以来、部材の途中で鉄筋を切断する「カットオフ」は、施工上不可欠な工法として世界中で用いられてきた。カットオフは、鉛直荷重、地震荷重のいずれに対しても弱点になりやすいので、細かい規定が設けられている。ところが、カットオフの規定は日米で大きく異なる。日米どちらの規定が正しいのか?本研究は、地震荷重を想定した静的加力実験を行うことにより、この問題に決着をつけようとしたものである。 平成25年には,主筋本数,カットオフの有無と長さ,せん断補強筋比をパラメータとし,8体の実験を行った。せん断補強筋が多いほど, カットオフの影響が小さくなることがわかった。 平成26年,27年には,平成26年度に行った実験結果を含め、内外の実験結果を分析し、2段目カットオフ筋の付着強度について、設計条件を検討した。さらに、「付着応力度の計算において有効せいを差し引く必要があるか」について検討を進めた。そして、日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説」(2010年版)の改定案を作成した。この規準は、わが国で、ほぼすべての鉄筋コンクリート建物に用いられており、社会的なインパクトは高いものと予測される。
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