研究課題/領域番号 |
26289211
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小林 秀樹 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20344963)
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研究分担者 |
斉藤 広子 明海大学, 不動産学部, 教授 (10257529)
小杉 学 東北工業大学, ライフデザイン学部, 准教授 (30410856)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | マンション / 区分所有法 / 管理不全 / 用途転用 / リゾートマンション / 被災マンション |
研究実績の概要 |
本研究は、分譲集合住宅の終了(区分所有関係の「解消」による建物解体または一括売却による用途変更)について、東日本大震災の被災マンション、管理破綻懸念リゾートマンション、管理不全を起こしている一般マンションの調査を通して、その課題を明らかにするものである。並行して、世界各国の法制度における解消の取り扱いを比較検討し、両者を総合して、マンションの解消制度の体系化及び合意形成・事業プロセスのあり方を明らかにすることを目的としている。研究初年度となる1年度目は、下記の研究実績を得た。 1.仙台の被災マンションの建物解体後の追跡調査:仙台5事例について建物解体後の敷地売却の経緯を調査し、合意形成上の課題について明らかにした。 2.リゾートマンションの調査:越後湯沢のリゾートマンション全数把握とともに管理不全懸念のある事例を6事例発見し、その詳細調査を行った。建物の老朽度について判定基準を検討するとともに、登記簿約300件を取得し、所有権の変遷から管理不全に至る経緯を調査した。また、多数決による解消制度が創設されたと仮定して問題を解決できるかどうかについて、敷地売却費用と建物解体費用の比較を行いつつ検討した。その結果、半数程度の例では解体費用が土地費を上回るため、自力での解消は難しいことが判明した。 3.都市部の福岡の管理不全マンションの調査:群馬県と福岡について、管理不全マンションの既往報告を整理しそれに関する検討を行った。詳細調査は、次年度の予定である。 4.以上を踏まえて、日本マンション学会の解消特別研究委員会と連携して、老朽マンションにおける解消制度についての意見交換を行った。4回の研究会合を開催した。 連携研究者:鎌野邦樹(早稲田大学大学院法学研究科 教授)、鈴木克彦(京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科 教授)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度調査において、仙台被災マンションと越後湯沢のリゾートマンションについては、当初の予定以上に詳細調査及び登記簿調査まで実施できている。 また、都市部の管理不全マンションの調査については、本年度は事例発見に難航したため、詳細調査の実施は福岡の1事例にとどまる。しかし、日本マンション学会と連携して管理不全の事例を数事例を把握しており、次年度以降の都市部での本格調査の基盤を整えることができた。 都市部では進捗の遅れがあるが、リゾートマンションと仙台被災マンションの計画以上の進捗とあわせると、おおむね順調に進行していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
2年度目以降は都市部での調査の基盤が整ったことから、当初計画通り研究を進める。2年度末には、一般老朽マンションを対象とした解消制度についての中間試案をまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は都市部の管理不全マンションの調査に関して事例発見に難航したため、詳細調査の実施が1事例に留まった為、旅費、人件費の金額が想定より下回った。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度中には都市部の管理不全マンションに関しては詳細調査が1事例に留まったが、日本マンション学会と連携して管理不全の事例を数事例把握しており、次年度における都市部での本格調査の基盤を整えることが出来た。その為、次年度使用額はそれらの詳細調査に伴う旅費、人件費に主に使用する計画である。
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