研究課題/領域番号 |
26289218
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
越山 健治 関西大学, 社会安全学部, 教授 (40311774)
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研究分担者 |
市古 太郎 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (10318355)
近藤 民代 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50416400)
廣井 悠 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50456141)
米野 史健 国立研究開発法人建築研究所, 住宅・都市研究グループ, 主任研究員 (60302965)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 住宅再建 / 復興政策 / 仮住まい |
研究実績の概要 |
平成28年度は、仮住まい期における公的住宅供給及び住宅再建動向及び復興まちづくりの特徴について、巨大災害性に着目して事例分析及び現状分析を行った。さらに、その特性を東南海・南海地震シナリオに当てはめ、実際の住宅再建動向についてシミュレーションを用いた分析結果をえることができた。 公的住宅供給動向については、東日本大震災における仮住まい動向について行政資料、公営住宅、みなし仮設住宅のデータを分析し、その全容についてほぼ明らかにすることができた。巨大災害事例におけるみなし仮設住宅の本格的運用は、東日本大震災が初めての事例であるが、①阪神・淡路大震災事例や中越地震事例に比べても、建設戸数が小さく、従来指摘されてきた課題であるプレハブ仮設建設への総コスト軽減につながっていること、②被災者の仮住まい住宅の積極的選択肢となっていること、③市町村圏域を超えた移動が発生し、また再建過程が孤立化しやすいという特性が見えたことを明らかにしている。災害復興の主体が市町村であることと、住宅移動圏域の自由度の高さは新しい関係性であり、住宅再建支援方策に新たな方法を必要としていることを指摘できた。 一方、他の事例として阪神・淡路大震災後の仮住まい供給敷地の変遷、海外の住宅再建事例、首都直下における復興まちづくりの備えについて研究を行い、住宅政策、コミュニティ政策、空間政策による影響について吟味した。 また、これらの要素を踏まえながら、仮設住宅・民間賃貸住宅を条件とした仮住まいシミュレーションにより、巨大災害発生時の仮住まい、住居避難の特徴を明らかにした。これらでは、仮住まいの供給数は圧倒的に不足し、従来型とは異なる供給方策を模索する必要があること、これらの仮住まい不足タイプは地域によって異なり、復興まちづくりやその後の都市再建の方向性と連動させることが必要であることを明らかにしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定から変更している点として、昨年度から課題としている復興まちづくり専門家への調査およびその後のデルファイ調査が挙げられる。当初、28年度に実施する予定であったが、同様の調査が、学術団体主体でほぼ同時期に実施されていることから、その結果を有効利用する方向に転換した。その分、事例調査と学術発表の機会を海外に求め、災害後の住宅再建に関するシナリオプラニングに必要となる一般的知見の議論に努めた。 当初の最終目的に向けて材料は蓄積しており、予算も最終的にはシナリオプラニングに投入することから、概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度であり、避難所の設定とその分布、仮住まいの展開、被災者の住宅再建の特性、復興まちづくりの影響、都市計画事業の影響、住宅市場動向といった一連の関係要素を整理し、これまでの研究成果を踏まえて、巨大災害におけるシナリオを科学的根拠を元にして作成する。また、これらのうち、ワーストシナリオ回避に向けた政策構築への道筋を示し、今後の巨大災害に向けた住宅再建シナリオの描き方を研究提案することとする。 そのため、研究の学術発表や一般的な災害住宅研究知見の再構築を、研究会・学会等で積極的に行いながら、整理できたことを報告書として作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度実施予定の調査について、同様の調査が学会主体で大規模に実施されることから、その重複と内容を鑑み、計画変更し、調査結果に基づくシナリオ構築を行うものとすることとした。その結果、調査用の費用が次年度に持ち越され、シナリオプラニングに向けた調査費用として計上されている。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、分析ソフト代、学会発表旅費、調査用旅費、アルバイト謝金、論文及び報告書作成経費に加え、シナリオプラニング作成経費を計上することとする。
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