研究課題/領域番号 |
26289224
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
中谷 礼仁 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30267413)
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研究分担者 |
木下 剛 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (30282453)
清水 重敦 京都工芸繊維大学, その他部局等, 教授 (40321624)
菊地 暁 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (80314277)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 国土保全 / 環境基盤研究 / 集落構造研究 / 地域経営研究 / 地域アセスメント |
研究実績の概要 |
本年度は研究計画調書に記した研究過程に記した[第2期]の後半年にあたっていた。実地調査にもとづく〈千年村〉持続要因の解明を行うことが主目的であった。研究代表者および研究分担者の活動拠点である関東・関西地域の〈千年村〉を対象として実地調査を行い、両地域で集落地域の持続要因を対象地域ごとにつづいて明らかにした。 実地調査は、[第1期]の基礎研究でプロットした古文献(『和名類聚抄』)記載の郷名の比定地をもとに行った。また悉皆調査と詳細調査の二段階に分けて実施した。 1)[悉皆調査] 選定した地域において悉皆的に〈千年村〉を実見した。各〈千年村〉においては居住、生産、交通等の立地及び利用の妥当性を客観的に評価する。これをふまえ今年度は茨城県の霞ヶ浦周辺を調査地域とし、選定した地域ごとの土地利用・景観の傾向を考察・分析・報告書をまとめた。 2)[詳細調査] 悉皆調査後、地形ごとに特に典型的な〈千年村〉を選定し、詳細調査を行う。詳細調査では実測、現地資料収集、ヒアリングなどをもとに、〈千年村〉の存続要因を考察・分析・報告した。調査地域を検討するにあたり、関東地域では〈千年村〉と水系の連関性に着目し、利根川水系を基軸に各県を縦断して、地形ごとの特性を検討する中で調査地域を検討した。結果として群馬県安中市松井田町五料を山の千年村として、茨城県行方市麻生町を潟の千年村として詳細調査を行なった。また、関西地域は奈良県桜井市初瀬、三重県津市大里睦合町田井について地域評価や地域景観策定に関する調査を行なった。それぞれの成果は現地住民を主な対象とした調査成果報告会を催し報告した。広く公開可能な成果は、専用webサイトへ反映する予定である。(http://mille-vill.org) また、以上の調査は、来年度第三期の目的である「〈千年村〉の評価と存続手法の提案」に向けたフォーマットづくりの準備活動となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成28年度はこれまでと同じく主要計画のひとつである公開済みの〈千年村〉データベースの拡充を行った。インターネットを通じて同プロジェクトのホームページに日本各地域からのコメントや、新規情報が寄せられている。また、千年村プロジェクトの民間への認知が増えたことに伴い、奈良県桜井市初瀬や三重県津市大里睦合町との研究連携も発生した。このことは本研究の社会的重要性を物語るものである。 また詳細調査にあってはより客観的な地域評価の手法開発を目的としたワークショップを行った。地域の人々との共同成果を迅速に作成したことも重要であるが、同時に本申請組織の評価手法をどのように地元でオーソライズするかが重要であり、千年村評価にあっては開かれたワークショップ等の開催が重要な要素であることが判明した。これらいずれも初期計画で予想された成果から大幅な対社会的展開をみせている。これをもって本申請研究の現在までの達成度が当初の計画以上より進行していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は研究計画調書に記した研究過程に記した最終期の[第3期]となる。第三期の目的は「〈千年村〉の評価と存続手法の提案に向けたフォーマットづくりと、先行研究者等を招いたシンポジウムによる本活動の明確化である。これまでの実地調査で得られた知見を前提に、地域評価の手法、地域間ネットワークの連携の提案などを行う。 そのほか実地調査を継続する。[第1期]の基礎研究でプロットした古文献(『和名類聚抄』)記載の郷名の比定地をもとに茨城地方の悉皆調査を行う。また、関西地域は関東地域に比べ、さらに古くから持続している地域が多いと考えられるため、特に古代からの遺構が明らかな地域について調査を行う。また客観的なアセスメント手法を意識したチェックリストを作成し、それに基づいた地域評価を行う。 また、それらの中で広く公開可能な成果は、専用のwebサイトへ反映する。(http://millevill.org) また本年度は区切りの年度として、より積極的に建築学会や造園学会等にて発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に予定していた調査地の報告書作成が年度をまたいだため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度分の報告書作成費および旅費として使用する。
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