研究課題/領域番号 |
26289226
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大森 俊洋 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60451530)
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研究分担者 |
貝沼 亮介 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20202004)
大沼 郁雄 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20250714)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 結晶粒成長 / 異常粒成長 / 相変態 |
研究実績の概要 |
Cu-Al-Mn合金における異常粒成長挙動を詳細に把握するため、今年度はα+β→β相変態が生じる加熱過程の組織解析を、EBSDを用いて行った。α+β2相組織中にはα相周りに亜結晶粒が形成されており、加熱中も亜結晶粒はそのまま存在していた。β単相になった状態においても、元の大角粒界内部に微細な亜結晶粒組織となっていた。さらに高温まで加熱することで異常粒成長が起こることも確認できた。加熱速度を変化させて異常粒成長粒のサイズを測定したところ、一定以下の速度で加熱することにより、効果的に異常粒成長が起こる確率が高いことが判明した。以上より、異常粒成長を生じる熱処理時の組織変化を観察することができ、さらに、異常粒成長が効果的に生じるための条件を特定することができた。 亜結晶粒界が異常粒成長の駆動力となっていると考えられるため、亜結晶粒の粒成長挙動は重要である。そこで、β相における亜結晶粒の粒成長速度を調査した。大角粒界の正常粒成長に比較し、亜結晶粒の粒成長速度は顕著に遅く、異常粒成長熱処理中もほとんど成長しないことがわかった。これは、亜結晶粒界の粒界エネルギーと易動度の両者が小さいことに起因すると考えられる。この実験事実は、異常粒成長における駆動力が時間とともにほとんど減少しないことを意味しており、異常粒成長速度が低下しにくいという重要な結論が得られた。また、Fe-Mn-Al-Ni系合金のおいても異常粒成長が生じることがわかり、今後、詳細な調査を行っている予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた通り、異常粒成長が生じる熱処理中の加熱過程の組織変化を観察することができ、さらに、亜結晶粒成長速度においては重要な知見も得ることができたため。Fe系合金においても同様の異常粒成長が起こることを見出し、顕著な進展も見られた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、異常粒成長熱処理における他の過程での組織変化を調査し、TEMやX線回折なども併用しながら異常粒成長を総合的に理解することに努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度、組織解析を実施するための消耗品が多数発生する見込みのため。また、人件費を計上する予定も発生したため。
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次年度使用額の使用計画 |
組織観察消耗品費と人件費をはじめ、計画的に使用する予定である。
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