研究課題
Fe-PdならびにFe-Pt合金は,立方晶から正方晶への弱い1次のマルテンサイト変態を示す.これらの合金におけるマルテンサイト変態は,弾性定数C'の顕著な軟化を示すため,[001]方向に1軸応力を加えた際の,ヤング率もまた,極めて顕著な温度依存性を示す.そのため,これらの合金における一定応力下における弾性歪の大きさは,温度に大きく依存することになる.このような場合,熱力学におけるマクスウェルの関係式より,応力付加ならびに除荷にともなう顕著な熱量効果が現れることが期待できる.本研究では,これら合金における顕著な弾性熱量効果を実証するすることを目指した.Fe-31.2Pd合金の単結晶ならびにFe-25Ptの単結晶を育成し,[001]方向が応力付加方向となるような試料を作製した.これらの試料に圧縮応力を断熱的に付加・除去し,その際の試料の温度変化を検出した.その結果,Fe-31.2Pd合金では,1K以上の温度変化が,100Kを超える広い試験温度範囲で実現できることを見出した.また,Fe-25Ptについても1Kを超える断熱温度変化を検出した.また,引っ張り応力を付加した場合においても,明瞭な弾性熱量効果が現れることを明らかにした.Fe-PdならびにFe-Pt合金において現れる弾性熱量効果は,マルテンサイト変態による潜熱と用いるというよりは,弾性変形の温度依存性を利用している.そのため,繰り返しによる疲労蓄積も極めて小さく,安定した弾性熱量効果が継続して現れるという利点を有している.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://www.mat.eng.osaka-u.ac.jp/mse1/achievement/index.html