研究課題/領域番号 |
26289234
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柴田 直哉 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10376501)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 極性界面 / STEM / ポテンシャル / 電場 |
研究実績の概要 |
本研究では、申請者らが近年開発した原子分解能電場計測走査透過電子顕微鏡法を用いてセラミックス界面の局所電場及び静電ポテンシャル構造を直接解析し、セラミックス界面における機能発現メカニズムを本質的に解明することを目指している。特に、本研究では強誘電体セラミックス及び圧電セラミックスなどの極性酸化物セラミックスの界面に着目し、その局所電場プロファイルをナノメーターオーダーで実空間観察することにより、界面における電場変調、電荷分布、静電ポテンシャル構造を実験的に直接明らかにする。これにより、極性酸化物セラミックスの界面機能発現の根本メカニズム解明にブレークスルーを与えるとともに、最近発見された極性酸化物ヘテロ界面における特異な電気伝導現象の起源解明にも挑戦する。 本年度は、結晶による電子回折効果による影響をなるべく排除し、電場による電子線偏向効果のみを抽出することを目的として、半導体pn接合に着目し、その界面を電場によって可視化することを試みた。この際、電場感度を向上するために、光学系を変化させ、2~10nm程度のプローブを形成し、pn接合の観察を行った。その結果、off-axis且つ回折コントラストを最小化させた条件で、半導体pn接合に形成された内蔵電場を直接観察することに成功した。この結果は電場計測STEM法は確かに材料内部の電場変化に敏感であることを示唆している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H27年度は、前年に引き続き①極性単結晶における原子分解能電場計測STEM法の定量化、②極性結晶における原子分解能電場計測STEM法の理論解析、③モデル界面試料の作製と局所ポテンシャル構造評価を順調に進行している。また本年度から、④極性結晶界面の理論解析、⑤原子分解能電場計測STEM法の確立と極性界面ポテンシャル構造の解明、という項目も開始し、一定の成果が得られつつある。また、本質的に電場が計測されているかどうかの検証も含め、半導体pn接合の観察を行いその界面電場の直接観察に成功した。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度は、引き続き上記①~⑤の研究を推進するとと共に、すべての結果を統合し、原子分解能電場計測STEM法の確率と極性界面ポテンシャル構造の解明に資する研究を推進する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度は動力学的回折効果を考慮した電場計算手法・ソフト開発に注力したため、電子顕微鏡用高速像計算機の導入を遅らせることとしたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度では、上述の新開発の計算手法を大規模な系に応用するため、電子顕微鏡用高速像計算機の導入に充当する予定である。また、STEM実験を前年以上に推進するため、試料作製、電子顕微鏡関係消耗品に充当して利用する予定である。
|