研究の目的:これまでの圧電材料の柱であるPZTは有害な鉛を含有しているため、今後は規制の対象となってくる。そのため、PZTを代替できる非鉛圧電材料の研究開発は世界的に喫緊の課題となっている。しかし、多くの研究努力にも関わらず、ほとんどの非鉛圧電材料の圧電特性はPZT(特に最高の圧電特性をもつソフトPZT)に遠く及ばない。本研究では、我々が最近発見した高い圧電特性(圧電定数d33=622pC/N)を有する非鉛圧電材料BZC-BTC(Phys.Rev.Lett.2009)を踏まえ、その物理機構を解明し、高電圧かつ高いキュリー温度(Tc)の両特性をもつ、高性能非鉛圧電材料を創成する指針を提供し、その指針に基づき、実用レベルの非鉛圧電材料の創出を目指す。 本年度(~平成 30 年3月31日)では、新規非鉛圧電材料の圧電特性の解明と新規材料のPZT代替効果を検証する。得られた主な成果は以下の通りです。 1、高分解電顕を用いてMPB付近の組織の微細組織及び温度、組成、外場依存性を調べ、巨大圧電効果と微細組織の関係を明らかにした。MPB付近組成・温度でドメインサイズの微小化を観測した。この結果はMPBによる圧電・誘電特性の増大効果の起源を明らかにした。 2.新規高Tc高圧電性能圧電材料を創製し、圧電特性がPZTにほぼ達し、温度安定性も良好である。センサー機能を確認した。創製した非鉛圧電材料は特許出願準備中である。
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