研究課題/領域番号 |
26289255
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
八木 伸也 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 教授 (20284226)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Rhナノ粒子 / 酸素被毒 / XPS測定 / ガス中蒸発法 |
研究実績の概要 |
液中プラズマ法によるRhナノ粒子の作製条件を最適化する結果は得られなかった。この原因としては、ナノ粒子が作製されることはわかったが、その多くはほどなくして沈殿してしまうため、作製に成功したとはいえない。よって、平成27年度で実施したのは、Heガスを用いたガス中蒸発法によるRhナノ粒子の作製にシフトすることにした。 Rhナノ粒子は、概ね2-3 nmの直径を有した球形をしており、作製した環境条件を保持できた状態、すなわちRhナノ粒子表面は非常に清浄で炭素や酸素といった汚染物質(コンタミネーション)がほとんどない状態で作製することに成功した。このナノ粒子は、超高真空チャンバのロードロック部に直接接続できる程度に小型化、および軽量化したナノ粒子作製装置の設計・製作により実現できた。 このRhナノ粒子に対して励起光のエネルギーを変えて(2000 eVおよび3500 eV)X線光電子分光法(XPS)測定を実施した。この際の測定はシンクロトロン放射光を用いて行った。その結果、励起光の変化に応じて、ナノ粒子表面とバルクとの電子状態が分けられたスペクトルの取得に成功した。 このナノ粒子の酸化状態についてXPS測定を行い、酸素被毒に応じた電子状態の変化が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
液中プラズマ法によるRhナノ粒子は断念したが、他の手法であるガス中蒸発法によるナノ粒子の作製法にスイッチし、非常に清浄な表面を有するRhナノ粒子の作製とそのXPSスペクトルの取得に成功したため。また、その酸素被毒によるナノ粒子表面とバルクのスペクトルの差を議論できる結果を得たため「概ね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
Rhナノ粒子に対して、硫黄被毒操作を加え、そのXPS測定およびXAFS測定を実施し、ナノ粒子表面の電子状態変化を明らかにする。その後、Rhナノ粒子から成る薄膜に対する硫黄被毒の程度と水素吸蔵特性について分析し、メチルメルカプタン分子が吸着した際のデータと比較検討を行う予定である。
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