SPS焼結体を熱間押出しにより完全にち密化し、熱間押出しにより細線化して、CNTが一次元に配向分散したAl/CNT複合線材を作製した。CNTの損傷を防ぐため、炭化物を形成せずにAlマトリックスが十分塑性流動できる条件で実施した。炭化物の形成は、熱間押出し中にCNTの損傷を招くばかりでなく、加工荷重の増加や延性の低下により加工困難となることが考えられる。TEMにより炭化物の有無を確認し、ラマン分光法CNTの損傷の程度を明らかにした。また、引張試験を行い荷重‐変位応答を調べ、Al/CNT界面の荷重伝達特性を明らかにした。 非常によく一次元配向しているCNT表面のナノ欠陥部へナノ炭化物(Al4C3)を選択的に形成するための熱処理条件の最適化を行った。これはいわゆる界面制御に相当し、CNTとAlマトリックス間にAl炭化物が形成されたこととなり、単なるCNTとの接触界面でなく炭化物を介して、強固に接合された界面となる。その結果、良好な荷重伝達が可能となると考えられる。TEM 観察によってAl4C3の生成場所、成長結晶面や成長方向などの形成メカニズムを明らかにした。 引張試験を行い荷重-変位応答を調べ、Al/CNT界面の荷重伝達特性の向上を明かにし、Alの引張強度が高強度になることを示した。また、電気伝導率の測定を行い、Alの電気伝導率と同等あるいはそれ以上であることを明らかにした
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