研究課題
平成28年度の研究で得られた成果を以下に箇条書きで示す.①IF鋼板を対象として,塑性変形中の格子ひずみ発展を結晶塑性解析により予測し,実験結果(文献値)と比較した.その結果,解析モデルや材料パラメータによって格子ひずみ発展の予測精度が大きく異なることが明らかとなった.この結果から,解析モデルや材料パラメータの決定に際して,加工硬化挙動だけでなく格子ひずみ発展も有効な指標となりうることが示唆された.②これまでに構築してきたマグネシウム合金に対する結晶塑性解析モデルを,同じ六方晶金属である工業用純チタンへ適用することで,その変形挙動予測を行った.その結果,変形挙動の面内異方性や反転負荷挙動,ひずみ経路依存性,等塑性仕事面の発展など,プレス成形に重要な影響を及ぼしうる諸因子を高精度に予測することに成功した.これより,これまで開発してきたモデルが六方晶金属に幅広く適用できる可能性が示された.③純チタン板を対象として,引張変形と圧縮変形を組み合わせた二段階負荷の実験および結晶塑性解析を行った.二段階目変形時の降伏応力は負荷履歴の影響を大きく受けることが明らかとなり,またその傾向を解析により良好に予測できた.また,二段階目変形時の降伏応力には一段階目変形時に生じた双晶活動が大きな役割を果たすことが示唆された.一方その後の加工硬化挙動は,解析では良好に予測するに至らず,今後の課題として残された.④これまで開発してきた結晶塑性解析プログラムを,京都大学大型計算機システム上で実行できるようにチューニングを行った.さらに,アルゴリズムの改良や並列計算の導入を行うことで,計算の大幅な高速化に成功した.また,工具との接触アルゴリズムを導入することで,結晶塑性モデルを直接用いた塑性加工解析の実行に成功した.これにより,開発してきた結晶塑性モデルをプレス成形解析に直接的に活用する道筋を構築した.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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