研究課題/領域番号 |
26289273
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
品川 一成 香川大学, 工学部, 教授 (30215983)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 材料処理・加工 / 機械材料・材料力学 / 数値解析 |
研究実績の概要 |
レーザ積層造形の基本要素をフェーズフィールド法(PFM)と個別要素法(DEM)のそれぞれで考慮し,まずは2次元解析コードとして定式化を行った.並行して,解析法の構築,検証に必要な実験システムを立ち上げ,諸条件を変えながら,データ収集を開始した. 1.DEM解析コードにおける基本要素の導入: 2粒子の溶融結合過程を,表面張力を考慮した粘性有限要素法を用いて解析し,時間による粒子の形状変化,接近挙動および収縮力の変化を算出した.これを基に,収縮力と接近速度の関係を表すモデルを作成した.また,モデルに現れる形状因子の補正係数を決定し,DEM解析への導入を可能にした. 2.PFM解析コードにおける基本要素の導入: 溶融粒子の間に働く収縮力をPFMにより見積もるための手法を構築した.溶融した粒子にPFM/DEM連成法を適用するにあたり,隣接する粒子に便宜的に異なるフェーズフィールド変数を設定した.その上で,わずかな界面エネルギーを与えることで,ネック部に作用する引張力を算出できるようにした.この手法を用い,粉体モデルを作成し,シミュレーションを行ったところ,粒子同士が融合してひとつの塊になる過程が再現できた. 3.実験システムの立ち上げ,予備実験: レーザ発信器,光学系装置を購入し,これらを用いて基礎実験用の積層造形システムを立ち上げた.いくつかの粉末材料に対し,出力,走査速度など変えて照射実験を行い,粉体の溶融結合を確認した.これを基に,造形可能な基礎的な照射条件を決定した.さらに照射実験を進め,データ収集を開始した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験システムは順調に立ち上がり,実験データの収集を始めることができた.また,PFM/DEM解析コードに基本的な要素を導入し,粉体の溶融結合過程がシミュレートできるようになった.ただし,計算モデルは初歩的なものであり,溶融造形として考慮しなければならない要素はまだ多い.
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今後の研究の推進方策 |
前年度に作成した解析コードに,考慮しなければならない要素をさらに加えながら,検証,改善を重ね,金属粉末レーザ溶融造形用PFM/DEMハイブリッド解析法を構築する.また,高性能な最新のワークステーションを購入し,大規模な計算を効率よく行えるようにする.実験システムについては,照射方法,条件を種々替え,本格的なデータ収集を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
1000円以下の端数であり,次年度での使用が妥当であると判断した.
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品費の一部として使用する.
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