研究課題/領域番号 |
26289283
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
成田 弘一 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理研究部門, 研究グループ長 (60357689)
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研究分担者 |
元川 竜平 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究センター, 研究副主幹 (50414579)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ロジウム / 溶媒抽出 / 協同効果 / 構造解析 / アミン / スルフィド |
研究実績の概要 |
(1) ロジウム二相間分配特性 アミン系抽出剤とスルフィド系抽出剤の混合溶媒による、塩酸溶液からのロジウム抽出に関する協同効果現象の解明のために、ジ-n-ヘキシルスルフィド(DHS)―トリ-n-オクチルスルフィド(TOA)系及びN,N’-ジメチル-N,N’-ジ-n-オクチル-チオジグリコールアミド(TDGA)―TOA系において、塩酸抽出特性、ロジウム抽出分配比のプロトン濃度・ロジウム濃度依存性及びJob’sプロットから、ロジウム抽出錯体の化学量論比を調べた。その結果、2 mol/L塩酸からの抽出では、1:1:2 Rh―(TDGA or DHS)―TOA・H錯体が優勢であることが示唆された。また、硫黄ドナーの影響を調べるために、ジ-n-オクチルスルホキシド及びジ-n-オクチルスルホンをそれぞれTOAと混合した溶媒を用いて塩酸溶液からのロジウム抽出を行ったところ、前者ではDHS、TDGAと同様に協同効果現象がみられたが、後者では全くロジウムは抽出されなかった。 (2) ロジウム錯体内圏構造解析 ロジウム含有2 mol/L塩酸溶液及びこの溶液からロジウムを抽出した有機相(TOA単独系、DHS―TOA混合系及び TDGA―TOA混合系)についてRh K-edge XAFSスペクトル測定を行った。XANES及びEXAFSスペクトル解析の結果、2 mol/L塩酸溶液及びTOA単独系においてはいずれも[RhCl5(H2O)]2-が優勢化学種であることが分かった。一方、DHS―TOA混合系では、ロジウムの配位水とDHSのS原子が置換していると推測された。また、TDGA―TOA混合系においても、TDGA分子がロジウムに直接配位していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度はロジウム二相間分配特性およびロジウム錯体内圏構造解析を計画していたが、前者については協同抽出系におけるロジウム抽出錯体の詳細な化学量論比を明らかにすることができ、加えてスルフィド・スルホキシド・スルホン基による協同効果の違いが分かった。後者では、主にXAFS法により、ロジウム抽出錯体においてスルフィド系抽出剤が直接配位していることを明らかにした。このように計画された研究を順調に遂行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度はスルフィドからスルホキシド、スルホンへと抽出剤構造を変化させたが、今後はさらにS/Oドナーや側鎖を変化させた抽出剤を用いて、ロジウムの抽出挙動解析を行うことで、最適な協同効果現象が生じる組合せを探索する予定である。 構造解析については、ロジウムブロモ錯体に関しても測定を行うことで、より詳細な抽出剤の配位特性を調べ、さらに小角散乱法等と組合せることで、特異な協同効果現象の解明を進める計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定以上に研究協力者の協力を得られたこと及び派遣職員の雇用を予定していたが適任者がいなかったことから、予定していた分の人件費がかからなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
派遣職員の雇用が確定しており、そちらの人件費に使用する予定である。
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