研究課題
最終年度は、現在のフィルタの大きな課題である、(1)ナノ粒子に対するフィルタの捕集効率のデータの健全性を確認する方法、ならびに(2)ナノファイバーフィルタにおいて圧力損失が低減される理由である「すべり流れ」効果について検討を行った。まず、(1)について、透過率実験データを取り扱う際に、透過率の値が10の-5乗以下まで低くなると、フィルタ出口濃度が極端に低くなる。このため、透過率データの精度が落ちることが懸念されている。そこで本研究では、透過率実験データの健全性の検証法について検討した。ろ過理論によると、拡散捕集が支配的であるナノ粒子では、透過率の対数(-log P、単一繊維捕集効率に比例する値)を、ペクレ数Peに対して両対数紙にプロットすると、全ての実験値はろ過速度、粒径によらず、一本の直線上にプロットされることになる。同プロットにおける実験データのバラツキがデータの精度を表し、ろ過速度、粒径を変化させたデータで一定の傾向があり、直線からずれる場合は、粒子径、ろ過速度の設定方法などに誤りがあることが分かった。また、(2)について、Kirschらは、すべり流れがフィルタの圧力損失に及ぼす影響に関して実験式を提案している。しかし、この実験式は、ミクロンオーダーの繊維からなるフィルタの圧力損失の測定値から導出されたものであり、ナノファイバからなるフィルタに適用できるかどうかは不明である。そこで、本研究では、市販のさまざまなナノファイバフィルタの圧力損失を減圧下で測定し、Kirschらの実験式の妥当性を検討した。その結果、ナノファイバーフィルタの不均一因子は極めて大きな値をとるが、Kirschらの実験式が適用できることが分かった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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