研究課題/領域番号 |
26289289
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大嶋 正裕 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60185254)
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研究分担者 |
長嶺 信輔 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30335583)
引間 悠太 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50721362)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 結晶核生成 / 高分子多孔 / 発泡射出成形 / 微細発泡 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、熱可塑性樹脂の内部にマイクロメータ・スケールの径の微細気泡を有する発泡体製造するための工業的な新たな手法として、CO2やN2の昇圧装置を不要とする射出発泡成形装置を開発し、その性能を検証した。開発した装置は発泡剤注入用のガスインジェクターバルブとベント孔とベント容器を装備している。このインジェクターバルブの開口時間とベント容器の圧力によって、発泡剤の樹脂への溶解量の調整ひいてはセル構造を制御することができる。この装置を使って、ポリプロピレン(PP)のコアバック発泡成形実験を行い、インジェクターバルブの開口時間とベント容器の圧力による発泡体のセル構造の制御性について検証し、従来装置以上に安定的に微細発泡体を作成し、またポリプロピレンで結晶化を制御する添加剤を、高速DSCの装置を使って探索し、急速冷却過程での結晶性樹脂の結晶核生成挙動を把握した上で結晶を気泡核剤として活用することの有効性を昨年に引き続き検証した。 さらに、空気を発泡剤とする実験を行った。ガスインジェクターバルブから空気を導入すると、空気中の酸素が樹脂を劣化させてしまった。そこでとベント容器から脱気するのではなく、逆に、ベント容器からガスを導入し、高温での樹脂接触時間を短くして、発泡させることにより、空気による微細発泡が可能となった。 これらの研究結果を取りまとめて、国内学会で2件、国際学会で3件の研究発表をする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
新規開発装置は順調に稼働しており、さまざまなデータが取れている。そのうえで、当初思ってもいなかった性能を見出すことができ、さらなる開発に繋げられている。
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今後の研究の推進方策 |
新規開発装置の性能評価を進めるとともに、より安定な生産が可能となるための、発泡剤濃度のセンシングシステムとフィードバック制御システムの開発を行う。 また、プラスチック発泡の原理から新たな微細発泡体の開発については、結晶核剤を発泡核剤とした手法をさらに促進し、結晶核剤の探索ならびに混合使用を検討する。
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