研究課題/領域番号 |
26289296
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
平井 隆之 大阪大学, 太陽エネルギー化学研究センター, 教授 (80208800)
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研究分担者 |
白石 康浩 大阪大学, 太陽エネルギー化学研究センター, 准教授 (70343259)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 光触媒 / 金属ナノ粒子 / 半導体酸化物 / 有機合成 / 白金 / 金 / 可視光 |
研究実績の概要 |
金属ナノ粒子/半導体酸化物からなるヘテロ相界面を有する光触媒により、金属ナノ粒子の局在プラズモン共鳴に基づく可視光吸収と半導体への電子注入を進行させ、ファインケミカルを合成する新触媒プロセスを開発する。相界面の緻密設計による高効率電荷分離の実現、ならびに相界面近傍への還元サイトの導入による新物質変換反応への展開を通して、太陽エネルギーの化学エネルギーへの高効率変換を図る。これらの研究を通して、従来の触媒プロセスでは達成の困難な高難度の有機合成を、安価かつ安全な試薬を用いて、常温・常圧下、有害な廃棄物を出さずに進行させるクリーンプロセスを実現する。 平成27年度は、Ptナノ粒子を酸化タンタル(Ta2O5)に担持した触媒による可視光酸素化反応を行った。Ptナノ粒子はバンド間遷移に基づく幅広い可視光吸収(~800 nm)を示す。Ptナノ粒子の可視光吸収により生成した励起電子(Hot electron)は半導体担体に注入されることなく、O2分子を表面で効率よく活性化する。この活性化されたO2分子がアルコールなどの基質を効率よく酸化することを見出した。本反応での550nmの励起波長における酸素酸化反応の量子収率は20%を超え、極めて効率よく光エネルギーを化学エネルギーに変換できることが分かった。このような高活性は、Ptナノ粒子とTa2O5の強い接合によりPtナノ粒子の電子密度が極めて大きくなり、Ptナノ粒子の可視光吸収によるHot electronの生成が促進されるためであることを種々の分光分析により明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Ptナノ粒子を担持したTa2O5により可視光酸素酸化反応を効率よく進行させることができることを明らかにした。半導体酸化物上でのナノ粒子の機能に関する知見が蓄積されてきており、今後の研究課題を順調にクリアできる感触を得ている。それゆえ、区分②に該当すると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究により、Pt、AuおよびPdナノ粒子の光触媒特性を明らかにしてきたため、これらの知見は多く蓄積されてきている。特に、Ptナノ粒子に関しては、従来よく研究されてきたAuナノ粒子を上回る活性が発現することが明らかにされ始めている。特に、半導体上のカチオン種が可視光活性を発現する要因となることを明らかにし始めており、このような性質をうまく使うことにより、新たな性質を発現する可能性が極めて高い。これらの新規光触媒に関する基礎解析を行った上、物質変換反応への展開を図る。
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