研究課題/領域番号 |
26289298
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
綿野 哲 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40240535)
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研究分担者 |
岩崎 智宏 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50295721)
仲村 英也 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00584426)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ナノ触媒リアクター / カーボンナノファイバー / 大量合成 / 回転式流動層 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、窒素をドープしたカーボンナノファイバー(N-CNF)の合成に最適な触媒の設計と、連続式ナノ触媒リアクターの特性評価に関する基礎的な検討を行った。触媒設計では、その工業的な利用の観点から、触媒の原料が比較的安価で合成方法が簡単であることを考慮して、触媒活性成分のニッケルナノ粒子がアルミナ微粒子に担持された触媒を採用した。ニッケル源としてアニオンが異なる種々のニッケル塩を使用し、含浸法によりニッケル塩をアルミナ微粒子に担持させた前駆体を調製した。触媒前駆体を異なる雰囲気で焼成して触媒とした。N-CNFを簡便に合成する手法として、アセトニトリルを炭素源および窒素源とするCVD法を採用した。触媒粒子を固定層型CVD反応器内に設置し、キャリアガス(Ar+H2)によってアセトニトリル蒸気を反応器内に供給し、N-CNFを合成した。硝酸ニッケルを用いて調製した前駆体を還元雰囲気で焼成して得られた触媒を用い、CVD反応温度を300~500℃の範囲で変化させたところ、400℃でN-CNFの生成速度は最大となり、これは従来の合成法における生成速度の4倍以上であった。以上より、本研究で設計した触媒とその合成法は、CVD法による工業的なN-CNFの低温合成に適していることが確認でき、連続式ナノ触媒リアクターによるN-CNFの大量生産の可能性が示された。 また、数値流体力学(CFD)によるシミュレーションを行い、実験では計測することが不可能な回転式流動層リアクター内部の流体速度分布および温度分布を解析した。熱源(ヒーター)の温度と実際の内部温度分布を比較したところ、内部温度は熱源温度の30%程度までしか上昇しないことが分かった。さらに、種々の操作条件の影響を解析したところ、遠心加速度(容器回転速度)を増加させることで、反応器内部の温度分布を均一化できることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の遂行により、カーボンナノファイバーの生成速度は極めて高速(迅速)となり、従来の合成法における生成速度の4倍以上の達成に成功した。 さらに、基盤となるCFDシミュレーションモデルの構築を予定通りに終え、温度分布解析に当初の計画よりも早く着手することができた。 以上より、当初の予定を超える成果を達成できたと言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、研究計画に基づき、回転式流動層を用いたナノ触媒リアクターによるカーボンナノファイバー(CNF)の大量合成を目的とし、触媒粒子の合成からCNFの合成までの一連のプロセスについて製造コスト、生産性、安全性等に関して総合的に評価し、フィージビリティスタディを行う。 また、本年度に構築したCFDシミュレーションモデルを基盤とし、回転式流動層を用いたナノ触媒リアクターの設計指針を明らかにする。
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