研究課題/領域番号 |
26289301
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大山 茂生 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50572939)
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研究分担者 |
阪東 恭子 独立行政法人産業技術総合研究所, 化学プロセス研究部門, 主任研究員 (50357828)
高垣 敦 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30456157)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 水素化脱酸素 / リン化物 / 反応機構 / バイオマス / バイオオイル |
研究実績の概要 |
木質系バイオマスを急速熱分解して得られる熱分解油はバイオオイルと呼ばれ、石油代替の燃料として注目されている。しかしながら、バイオオイルは多くの酸素含有化合物で構成されており、発熱量が低く、酸性が高く、保存安定性に乏しいため、オイルの高品位化が必須とされている。そこで、本研究では、バイオオイル中の酸素を除去できる高性能な水素化脱酸素触媒を開発することを目的としている。今年度は、モデル化合物としてガンマバレロラクトン(GVL)の水素化脱酸素反応に活性を示す触媒を探索した。各種シリカ担持金属リン化物を調製し、それらの水素化脱酸素反応活性を評価した。触媒反応は固定床流通系反応装置により評価した。触媒の反応活性は大きく異なった。Ni2Pは最も高い転化率を示した。開環反応が初期に進行し、ペンタン酸がはじめに得られた。その後、高転化率領域における主生成物はブタンであった。一方、MoPの場合は、2メチルテトラヒドロフラン(2MTHF)が中間生成物として選択的に得られた。2MTHFはその後、開環し、ペンタナール、n-ペンテンへと変換された。WPの場合では、GVLの開環反応が初めに進行し、ペンタン酸が中間生成物として得られるが、その後はエステル(ペンチルバレレート)が得られた。このように、各種リン化物を用いてGVLの水素化脱酸素反応を行ったところ、金属種により生成物分布に大きな違いがあることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、水素化脱酸素反応において、高活性、高選択性を示す触媒を見出し、それらの反応機構について明らかにしてきている。
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今後の研究の推進方策 |
反応速度論的解析を行い、種々金属リン化物触媒の反応活性について詳細に検討する。また、in situ XAFSおよびFTIRにより、反応中の活性サイトの挙動について知見を得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究補助員の雇用に係る経費を予定していたが、今年度は研究の遂行に必要な物品の購入を優先させた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、研究加速のため人件費に充てる。
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