研究課題/領域番号 |
26289302
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
伏見 千尋 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50451886)
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研究分担者 |
寺田 昭彦 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30434327)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | バイオマス / バイオディーゼル / 藻類 / 水熱液化 / 栄養素 |
研究実績の概要 |
・亜臨界水(300℃、10 MPa)で微細藻類の水熱液化反応を行った。活性炭により水溶液中に窒素分の回収が増加することを明らかにし、速度式を求めた。 ・微細藻類から、a) 上記の水熱液化法、b)溶媒を用いた抽出法、の2種類の方法により抽出したオイルを用いて、超臨界メタノール法でバイオディーゼル(脂肪酸メチルエステル:FAME)生成反応に与える影響を調べた。その結果、すべての条件において、溶媒抽出法よりも水熱液化法で得られたオイルの方が、超臨界メタノール法でFAMEへ転化されやすいことを世界で初めて明らかにした。 ・藻類からヘキサン溶媒でオイルを抽出する溶媒抽出工程について、省エネルギープロセスを導入し、プロセスシミュレータを用いてヘキサン回収における消費熱量・電力とコストを試算した。その結果、この省エネルギープロセスの導入により、ヘキサン回収に必要な一次エネルギーは通常の熱回収型モデルの約半分まで削減することができたが、コストは増加することが分かった。 ・固形分の残渣に含まれるリン成分の溶出を目指し、加水分解酵素を多く産出可能な微生物群の探索を行った。その結果、産業廃水処理施設に棲息する微生物群が固形分のリン溶出に有力であることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・水熱液化での藻類からの栄養素回収については、窒素分の回収についての解析を進め、活性炭により水溶液中への全窒素の回収が増加するということを明らかにした。 ・超臨界メタノール法による藻類溶媒抽出オイルと水熱液化オイルの、エステル交換反応の反応性について明らかにした。予想以上に進展し、水熱液化オイルの反応性が溶媒抽出オイルの反応性よりも高いことを、世界で初めて見出した。 ・固体からのリンの生物学的な回収方法についてのめどが立った。
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今後の研究の推進方策 |
・水熱液化オイルがバイオディーゼル合成にも適していることは明らかとなったが、この水熱液化の条件についての検討が不十分であるため、バイオディーゼル生成に適した水熱液化の条件を検討する。 ・水熱液化で得られるチャーの化学的性質と反応性について明らかにし、プロセス全体のエネルギー収支と経済性の向上の可能性を探る。 ・分離エネルギーの大幅な削減は可能となったが、一方で固定費が大幅に増加することが明らかとなった。そのため、省エネルギー効果を損なわない程度に、固定費の削減を行うことを次の課題とし、安価なバイオディーゼルの生産に向けて研究を推進する。 ・水熱液化では回収の難しいリン分については、発酵技術を開発している国内の研究者との連携を強化することにより、リン分の回収率の向上を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費と人件費・謝金については支出がなかったため物品費として使用した。 その他経費も予定よりも大幅に使用が少なかったため、結果的には18954円が残った。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度については、この残金を物品費(消耗品費)として使用する予定である。
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備考 |
Comparison of biodiesel production in supercritical methanol from microalgae oil using solvent extraction and hydrothermal liquefaction processes, C. Fushimi, A. Umeda, Energy & Fuels (2016年4月中旬、投稿予定)
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