研究実績の概要 |
本年度は、研究代表者が独自で見出した"金属ナノ粒子と無機酸化物担体との界面で起こる特異な協奏的触媒作用”を最大限に発現させるため、金属ナノ粒子を無機酸化物で覆ったコア-シェル型金属ナノ粒子触媒の開発を行なった。その結果、添加剤や有害試剤を一切用いず、水中にてコア‐シェル型金属ナノ粒子を一段階で合成できる新手法の開発に世界で初めて成功した(T. Urayama, T. Mitsudome, Z. Maeno, T. Mizugaki, K. Jitsukawa, K. Kaneda Chem. Eur. J., 2016, 22, 17962. )。例えば、金前駆体溶液とセリウム前駆体溶液を水中で攪拌するだけで、金ナノ粒子がセリアナノ粒子に覆われたコアーシェル型金属ナノ粒子を一段階で合成できる。さらに、開発したコア‐シェル型金属ナノ粒子(Au@CeO2)の触媒機能を検討したところ、非常に還元されやすい炭素-炭素二重結合を保持したまま、目的とする官能基のみを高選択的に還元する高性能な触媒として機能することが明らかとなった。つまり、Au@CeO2はC=C結合を保持したままアルデヒド基、アルキニル基、及びエポキシ基などの様々な官能基を高選択的に水素化できる。さらに、本触媒は反応後、反応溶液からろ過により容易に分離でき、再び反応に用いても活性の低下は観られず、高い耐久性も兼ね備えている事が明らかとなった。本成果は、Chem. Eur. J.のhot paperに選定され、Synfacts誌のSnfact of Monthに選定され、その表紙を飾った。
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