今後の研究の推進方策 |
細胞の信号伝達に目を向けると、神経細胞におけるシナプス小胞に代表されるような、小胞輸送を基盤としたミクロ空間外への物質輸送が、情報伝達において重要な役割を担っていることが理解できる。アミロイドペプチド等の小胞輸送メカニズムを解析し、神経細胞毒性の発現機構を理解すると同時に、小胞形成に必要な脂質組成について、考察を実行細胞系からの結果を参考に行う。 また、「ラフト仮説」は、極めて魅力的であり、多くの膜受容体やイオンチャネルが、ラフトを介して信号伝達を行っているという研究例が報告されている。人工細胞系の相分離構造を調べると、5種類(Spinodal(縞状), Rough(歪形), Smooth(円形), Reverse(反転), No domain(一様))の相分離構造に大別できる。しかし、細胞生理学的には「ラフト」は1種類のみが想定されている。この細胞系と人工細胞系における、相分離構造に関する理解のギャップを埋めるべく、生きた細胞の相分離構造について、精査する。
|