研究実績の概要 |
卵中のシアル酸糖鎖を、ヒトインフル受容体として機能するα2,3 結合からα2,6結合型に改変し、インフルワクチンの生産性の向上をめざしトランスジェニックニワトリの作製を開始した。α2,6結合型含有糖鎖を生合成するα2,6シアル酸転移酵素をニワトリ個体全体で発現させると、α2,6シアル酸含有糖鎖を受容体とするヒトインフルが感染する恐れがある。そこで、GFP遺伝子をプロモーター下流に挿入し、そのままでは酵素が生産できないトランスジェニックニワトリを作製し、一方リコンビナーゼを有するニワトリとかけあわせ受精卵でのみリコンビナーゼによりGFP部分が除かれ活性酵素ができるよう工夫した。平成26年度は強力なプロモータであるCMVプロモーター制御下でリコンビナーゼの一種phiC31が発現するよう配置したレトロウイルスベクター、及びアクチンプロモーターでα2,6シアル酸転移酵素を発現するもののプロモーターと酵素遺伝子の間にリコンビネーションのターゲット配列で囲ったGFP遺伝子を挿入し酵素が生産されないベクターを構築し、前者を5回、後者を2回ニワトリ胚に導入した。前者の場合、ベクター又はリコンビナーゼの発現によりニワトリが死んだため、毒性を下げるためウイルスの純度改善、タイターの低下によるphiC31の毒性の回避などトランスジェニックニワトリ作製の条件を決定している。一方、インフル耐性のメカニズム解析のため、その候補であるニワトリIFITM 1,3,10遺伝子をクローン化し塩基配列、ドメイン構造を解析するとともに、その抗ウイルス性の解析を開始した。さらに卵中シアル酸の結合様式を支配するシアル酸合成酵素を特定するため、種々のシアル酸転移酵素をクローン化した。
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