研究課題
ナイロンが生物作用を殆ど受けない要因として、ⅰ)ナイロンユニットを認識できる酵素が生物界に殆ど存在しないこと、ⅱ)ポリマー鎖同士が強固な水素結合で結合しているため、一部のアミド結合が切断されても、会合体からのオリゴマーの離脱が進まないことが挙げられる。ナイロン分解の効率化として、ⅰ)分解酵素の高機能化、ⅱ)モノマー化が容易なポリマーの探索、ⅲ)ポリマーを溶解する有機溶媒・イオン液体中での反応などのアプローチが考えられる。特に、有機溶媒中での酵素反応は、化学処理と酵素処理の連携を容易にする。本研究では、ナイロンのリサイクル処理で、エチレングリコール(EG)が用いられていることに着目し、種々の濃度のEG/水混合系でのナイロン分解酵素(NylC)の構造、安定性、及び、活性との関連性を検討した。親型NylCは、90%以上のEG濃度においても活性を示すが、G122-Y130-A36-Q263 (GYAQ)変異体ではEG濃度70%以上では、殆ど活性を示さず、EG濃度依存性が変異により影響を受けることが分かった。また、親型NylCでは、90%EG中でも顕著な構造変化は見られなかったが、GYAQ変異体では、EG添加に伴い、CDスペクトルが5~10nm、長波長域へシフトすることが分かった。CDスペクトルの結果を、Beta Structure Selection (BeStSel) 構造予測プログラムに入力し、二次構造を推定した。EG濃度が高くなるにつれて、α-helixの割合が増加するという傾向が見られた。ナイロンは130℃以上でEGに高濃度で溶解することから、EG中において極めて耐熱性の高い酵素の創出が求められる。そこで、超好熱菌由来のセリンプロテアーゼ(水中では90℃以上で安定)を用いて、EG中での構造・機能・熱安定性(30~130℃)の関連性についてもを検討を行った。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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